会計データと人との結びつき:会計学で人の行動を考えるとは?
会計データは「作って済む」問題ではない
会計学は経営のあり方をどう可視化するかを大きな問題としています。会計データをうまく役立てることができれば、経営のあり方を鏡に映し出すかのように数値面から知ることができます。そして、適切な判断や意思決定に活かすことができる情報になりえます。
一方、会計学では「会計情報は人の行動を変える」ことも十分に考慮しなければなりません。最悪の場合、人は動いてくれないどころか、逆に経営に悪影響をおよぼすリスクもあるためです。
会計数値を用いた管理の難しさを考える
とくに、組織全体としては利益を上げなければ経営は成り立ちません。組織業績は経営者にとって重要な関心事です。一方、非常に繊細な問題の1つは、ただ数値を示して管理するだけでは、会計が本当に目指している目的を果たすことができないおそれがあり、とくに組織経営が成り立たなくなる危険性まではらんでいる事です。
例えば、業績向上を目的として困難な目標を提示した場合、人はどのような行動を取るでしょうか。あるいは、専門性の高い職業に従事している従業員に関心のある事項とは違う数値目標を無理に課すと、どのような行動を誘発するでしょうか。想像力を膨らませ、考えてみましょう。
「数値をどう活かすか?」は複雑で、重要な課題
人の行動に着目し、「会計数値を経営にどう活かすのか?」に関する研究は、古くから行われてきました。しかしながら、会計学は唯一の答えを持ち合わせているわけではありません。現在も研究が続いています。「数値をどう活かすか?」はそれほど単純な問題ではないのです。
そして、「どのような内容の情報開示の仕組みが人・組織や社会に活きるのか?」という研究テーマは管理会計のみならず会計学の他の分野においても重要な位置づけを占めています。これはとても複雑な一方で、会計学にとって非常に重要な課題といってよいでしょう。
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