災害に正しく備えてペットを守ろう!
災害が発生、ペットはどうする?
災害が起きて避難が必要になった時、ペットを連れて行くことになります。しかし、さまざまな人たちが集まる避難所の居室内に、ペットを連れて行くことはできません。動物たちは一カ所に預けられ、群飼育されるのが一般的です。動物を群れで飼育するとなると、衛生管理や感染症対策など、配慮が必要になります。この時、狂犬病予防接種が済んでいない犬は、預け先が見つからないこともあります。ペットブームの今、動物が人間社会で幸せに暮らすために必要なことについて、しっかり向き合わなければなりません。
これから進むシェルターメディスンの研究
動物保護施設における群飼育の獣医療を「シェルターメディスン」と言います。まだアメリカで研究が始まったばかりで、災害が多い日本ではこれから研究を進める必要がある分野です。災害時の群飼育に備えるには、日頃のしつけも重要です。ただ「かわいい」という感覚だけで飼われ、むやみに吠えたり噛み付いたりする犬は、非常事態での群飼育を乱すことになりかねません。そのほか不妊去勢手術や予防接種、ワクチン、動物用の防災用品の備蓄も、飼い主の責任です。トレーニングやペット保険に入っておくことも欠かせません。ペットを飼うとはどういうことかを、動物福祉の視点からも考える必要があるのです。
動物の福祉が守られた上での「殺処分ゼロ」へ
飼い主が責任を放棄して捨てられた犬が、山で野犬化し繁殖している事例もあります。殺処分ゼロが理想ですが、殺処分を避けようと、ただ大量に保護すればいいというわけでもありません。保護施設の十分なスペースの確保、衛生管理、トレーニングを行える人材などを整えた上で命を守り、譲渡へつなげることが重要です。ペット大国といわれる日本ですが、欧米と比較すると動物愛護の課題は山積みです。野良犬や野良猫にエサを与えることは、動物愛護ではありません。動物医療、動物福祉の正しい知識を団体や地域と共有し、広めることが求められています。
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先生情報 / 大学情報
酪農学園大学 獣医学群 獣医保健看護学類 教授 川添 敏弘 先生
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