都市の経営は、国土を測るところから
国土の測り方
今はICT(情報通信技術)によって、少ない人員と短い時間で、高い精度で国土を測量することが可能になりました。加えて世界中で「デジタルツイン」という都市空間を3次元化しようとしています。いわゆる都市空間をレーザやカメラで測ってデジタル化する試みです。航空機にレーザを搭載してスキャンし、地形の測量を行っていますが、緑色の「グリーンレーザ」を使えば、水底の形状まで測れるので、水陸両方、つまり国土を丸ごと測ることができます。この技術は、省力化や省人化が求められる工事施工の現場でもフル活用できます。
すでにあるモノを利用して測る
道路工事では、施工後に設計図どおりに仕上がったかを多くの人員と時間を使って計測し、確認しています。もし施工する機械にレーザを搭載し、施工終了と同時に、設計図どおりに完成したかを計測し、その計測データを通信で転送すれば、離れた場所にいる現場監督も確認・判断することができ、わざわざ現場まで来てもらう必要がありません。
また道路の定期的な点検の場合も、走行中にドライブレコーダーで撮影した画像データを使い、道路のひび割れや穴といった箇所を自動で検知できます。実はこの点検技術は、すでに実用化されつつあります。
これからの都市の経営とは
日本にある橋は、造られて50年以上経過するものの割合が今後加速度的に高くなります。いつ壊れてもおかしくない橋も多数あるのに、修繕が追いつきません。今後さらに少子化が進めば今まで以上の税収の増加は見込めず、このままでは国土や都市の経営は破綻します。そのため少子高齢化に即した都市の賢い経営を考え、早急に実践していく必要があります。
例えば建設現場での熟練技術の継承は、これまでのような「師匠の背中を見て覚える」ではなく、人工知能や画像解析で技術を数値化しながら、コツを含めた技術を確実に後輩に継承する手法が必要です。公共構造物に関わる専門家と共に、生産性向上を支援する技術の研究が進められています。
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先生情報 / 大学情報
法政大学 デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 教授 今井 龍一 先生
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