全く新しい農村地域の「創生計画」を考えよう

全く新しい農村地域の「創生計画」を考えよう

日本のほとんどの地域は「田舎」

日本は、いくつかの大都市を除くとほとんどの地域はいわゆる「田舎の農村」です。その多くで少子高齢化による人口減少が問題となっています。若者、子どもの減少により集落の維持が難しい場所がどんどん増えていて、長い年月をかけて育まれてきた郷土料理やお祭りなどの豊かな伝統文化、貴重な地域資源が継承できなくなりつつあります。小学校の行事などは、地域住民が交流する機会でもありますが、学校の統廃合が進むと地域の行事は格段に減ってしまいます。地域を維持することは、人と人が会う機会を維持することでもあるのです。

少ない人口で楽しく生きるには?

若者が農村から出ていってしまうのは、働き口がないことも大きな原因です。「農村計画」というものを考えるなら、農業だけでなく、観光・教育・建築・環境・福祉などあらゆる分野の就業先を視野に入れる必要があります。
一方で元気な地域もあり、また海外にも参考となる事例がたくさんあります。ヨーロッパでは人々の行き来が盛んで、少ない人口でも生き生きと暮らす「田舎」がたくさんあるのです。人口減少はすぐには解決できませんが、その中でも住民が楽しく生きる方法があるはずです。

都市と地方の共存関係を

フランスでは、長期有給休暇の取得が法律で義務づけられているため、お金をむやみに使わず自然に親しむ「農村民泊」が普及しました。また、日本では一度職場を辞めた人が気軽に復帰できる仕組みは一般的ではありませんが、欧米では公務員ですらNPOやベンチャーで経験を積んで復職することが珍しくありません。これができれば人が流動化し、都市を離れることに不安を感じなくなります。地方創生の鍵を握るのは田舎への定住だけではなく、地方と交流・関係する人口、いわば「準住民」を増やすことです。
都市と農村の共存関係が生まれると、自然に地方へもお金が回り、いろいろな仕事が生まれます。今、日本に求められているのは、国の行政も巻き込んだクリエイティブな発想なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 ビジネスコース 教授 鈴木 孝男 先生

新潟食料農業大学 食料産業学部 食料産業学科 ビジネスコース 教授 鈴木 孝男 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

農村計画学、地域計画学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今、全国各地の農村では、地域づくりの担い手が世代交代できず悩んでいる。この問題を解決するには、若者が就ける新しい仕事を作って活躍してもらうことが必要でしょう。農村には豊かな自然や歴史文化があり、無限の可能性を秘めています。新たな仕事を作っていくためには、いろいろな人の知恵や助けを集めていく、人、企業、組織間のネットワークが必要です。
都会から田舎に移住するだけでなく、都会で働きながら地方創生の役に立つ方法もあるはずです。農村は若者の新しい発想力と行動力で突き進むパワーを求めています。

先生への質問

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“Farm to Table to Farm”は「農場から食卓へ、そして農場へ」という意味です。食物は、農場で生産されてから多くの人の手を経て食卓に届けられ、この流れを「フードチェーン」とよび、農場から人々の食卓まで、フードチェーン全体をつかさどる産業を食料産業とよんでいます。本学では、新しい食料産業を作り出すために不可欠な科学(サイエンス)、技術(テクノロジー)、経済活動(ビジネス)を一体的に身につけます。日本の農業を変え、さらに世界をリードする新しい食料産業をともに生み出していきましょう。