建物のエネルギー消費がもたらすヒートアイランド現象の影響と対策
ヒートアイランド現象の要因となる熱汚染
近年、大気の状態が不安定になり、短時間で大雨を観測することが増えています。局地的かつ突発的に発生するため「ゲリラ豪雨」とも呼ばれるこの現象は、ヒートアイランド(都市高温化)が大きく影響しています。
国内では20世紀半ばごろから課題として認識されるようになったヒートアイランドには、地球温暖化だけでなく、建物のエネルギー消費が大きく関わっています。空調や照明、冷房、エレベーターなど、建物でエネルギーが使われた結果生じた熱が建物の外に放出され、それが周辺環境の温度を上昇させ、熱的汚染となるからです。都市のように建物密度が高い場所ほど、その兆候は顕著に表れ、また近年は地方都市の高温化も加速しています。
建物のエネルギー消費を測定し基準値を示す
建物の消費エネルギーを減らすために、建物がどのくらいのエネルギーを使用しているのかを調べ、数値化する取り組みが行われています。建物で消費されるエネルギーを計測・調査し、その平均値を基準とする「エネルギー消費原単位」を、建物のエネルギー消費性能の評価指標にすること、また省エネルギー推進の指標として活用することは、改正された省エネルギー法にも明記されています。緑化推進を条例で定めて対策を進めている地域もありますが、「エネルギー消費原単位」データを活用し、建物の省エネルギー化をめざすためにも、全国規模でデータ整備することが必要です。
求められる建物自体の省エネ
冷暖房の設定温度を抑えるなど、意識的に省エネに取り組む人が増えていますが、継続の秘訣は無理をせず、快適さを保つことです。照明をLEDにするなどの基本的な対応はもちろん、建築設備の性能向上などを含め、今後は建物自体の消費エネルギーをさらに減らす対策が必要です。また災害が発生した際、建物内の配管や配線に不具合が生じライフラインが遮断されないよう、防災・減災も含めた建物の設備設計の性能向上も、今後の大きな課題です。
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先生情報 / 大学情報
東北文化学園大学 工学部 建築環境学科 教授 須藤 諭 先生
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