まちづくりで「居心地のいい空間」を生み出すには?
「居心地のよさ」とは何なのか
都市デザインやまちづくりを計画する時、その場所が人々にとって居心地のいい空間になるように配慮することは非常に大切です。では、そもそも「居心地のいい空間」とは、どのような空間でしょうか。どういったものがその場に備わっていると、人々はそこに居心地のよさを感じるのでしょうか。
柏駅で行われた社会実験
千葉県北西部にある柏市の中心に位置する柏駅は、1日に約34万人もの人々が利用しています。ここには、中央口と南口に自由通路があり、電車の乗降のために行き来する人のほか、乗り換えのために立って待っている人も大勢います。滞留する人と移動する人が通路内に混在しているため、歩く人には立って待っている人が邪魔に感じて、立って待っている人には歩く人が邪魔に感じる、という課題がありました。
この自由通路をより快適で居心地のいい空間にするにはどのような施策を導入すべきか、2カ月間にわたる社会実験が行われました。実験では、自由通路内にベンチと植栽を配置して、点字ブロックなどを阻害しないように配慮しながら少しずつベンチと植栽の配置を変えて、人々の行動や感じ方にどのような変化が生じたのかを検証していきました。
この社会実験で明らかになったのは、ベンチや植栽は危惧されていたほど通行の邪魔にはならず、自由通路の居心地の改善につながったということでした。植栽に対する評価が予想以上に高く、体を休めることができるベンチのほかに、心を休める効果のある緑の植物もまた、居心地のいい空間を生み出すのに欠かせない存在であることもわかりました。
まちづくりがもたらすもの
まちづくりのアイデアを実際に都市に還元するためには、行政との交渉など、さまざまなハードルをクリアしなければなりません。そうした課題を乗り越えて、より居心地のいい空間が生み出されたときには、人々からの反応がダイレクトに表れます。そのような段階を経て、街は洗練されていくのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。