暮らしやすい都市づくりを考える「環境システム工学」
「環境システム工学」とは?
日本の大都市のインフラ整備は世界的に見ても優れていると言えます。電気、ガス、水道のライフラインをはじめ、道路や通信といったインフラがしっかりした上に都市機能が成り立ちうまく回っているのです。インフラの語源は「infrastructure(下部構造)」で、文字通り都市機能の足腰になるものです。
インフラが整備されていても、それをうまく利用していかなければ意味がありません。いかに効率よくインフラを使い、メンテナンスを行い、都市全体を機能させていくか、それは省エネルギーや快適な環境づくりにつながっていきます。それを考えるのが「環境システム工学」という学問なのです。
リサイクル廃棄物の回収拠点を効率化
東京のように人口が集中している都市では廃棄物が大量に出ます。回収し、運搬して、焼却したりリサイクルしたりするためにも効率のよいシステムを考える必要があります。回収場所は多ければ多いほど住民には便利ですが、多すぎると回収にかかる時間や人件費がかさんでしまいます。廃棄物回収のような公共事業も事業である限り、コストや効率を考えなくてはなりません。特にリサイクルの場合は、分別して回収したり、回収したものをどう保管しどのタイミングで業者に回してリサイクルするかなど、複雑な問題が絡みます。小型家電のようにレアメタルと呼ぶ希少な金属を多く含むものは街中に回収ボックスを設置する方法も検討されています。回収ボックスをどこにおけばいいか、どのように告知していくかなど、データを見ながら「最適化」していく作業が必要です。
大震災に対応するために
もし東京に東日本大震災を上回る地震が起きた場合、コンクリートのビルが倒壊したり、古い木造住宅密集地域で火災が起きたり、大量の瓦礫が発生する可能性もあります。その場合もいかに効率よく瓦礫を撤去・移動し、衛生的な環境を確保できるかを事前にシミュレーションしておく必要もあります。こうしたことも環境システム工学のテーマなのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 都市基盤環境学科 准教授 荒井 康裕 先生
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