多様化する価値観の中で、デザインの役割を考える
これまでのデザイン、これからのデザインとは
日用品や家具のデザインは、生活をデザインすることでもあります。これまでは、「より便利に」「より豊かに」という、ある一定の価値観を反映したデザインが主流でした。ところが今、人々の価値観は実に多様化しています。便利で楽なモノを好む人がいる反面、不便さをよしとする人や、手入れが必要でもそれをよしとして、むしろ楽しむ人もいます。使い捨て商品を受け入れながら、長く使えるデザインがよいなど、SDGsを意識したモノも人気です。答えは一つではではありません。そんな多様化に対して、これからは人々の価値に対する考えに想像を巡らせて、「価値をつくっていくデザインとはどういうことか」を考える必要があります。つまり、価値をデザインするのです。
事例に見る、価値のあり方
モノには寿命があり、それが尽きるとゴミになる=価値がなくなります。「リサイクル」「リメイク」「リユース」「アップサイクル」など、ゴミに新たな価値を与える取り組みや、「リデュース」「超寿命化」「シェアリング」など、そもそもゴミになりづらくする考え方も必要で、さまざまな取り組みがなされています。あらゆる段階で、資源の循環的・効率的な利用を考えて、生まれる価値を最大化する社会経済システム「サーキュラー・エコノミー」を意識することがデザインに強く求められています。
新しい価値軸をつくる
SNSなどのツール普及に伴い、情報伝達スピードが早くて拡散範囲が広くなった現代において、価値の比較がしやすくなりました。よいことではありますが、似通った考え方から生まれたモノには優劣を判断することが難しくもなりました。そこで求められているのは新しい価値軸です。モノの形や色、機能や価格等にとどまらない新しい指標、価値を判断する「ものさし」からデザインすることです。業種や分野を超えて、さまざまな領域の特性を横断的に駆使しながら、そのことを考える必要があります。
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