街を歩く目線から、街の新たな魅力が見えてくる!
都市空間を人はどうとらえるか
都市デザインや建築の観点から街を研究する場合、建物の構造や高さ、騒音の量など、物理的・客観的なデータを集めて分析するのが一般的なアプローチです。一方、日常生活や観光において、ぶらぶらと街を歩いたときに、私たちが何を感じ取るのかということも、面白いテーマです。具体的には多くの人に、街を歩いて、そこで受ける雰囲気や印象を言語化してもらい、そのデータを蓄積することで、魅力的な地図やグラフなどを制作します。こうした、人によって、気分や時間などによっても異なる、主観や感情を可視化する研究は、これまであまりありませんでした。
オノマトペで街を表現する
例えば、みんなで街を歩き、オノマトペ(擬音語・擬態語)によって街の印象を表してもらった事例があります。「わくわく」「どーん」「ほんわか」などのオノマトペを使って表現することで、数値で測るのとは違った街の見方ができます。つまり、そこに「何があるか」だけでなく、「どういう様子であるのか」をとらえることが可能になります。
街歩きの際には、「ここに注目して」という指示はせずに、その人なりの見方・感じ方を重視します。例えば建物を見るだけでなく道幅に着目してみると、大通りから狭い路地に入るとガラッと雰囲気が変わるなど、新しい発見があります。そんな街の歩き方をしてみるだけでも楽しいですし、みんなでつくりあげた地図が、新たな街の魅力の発見につながると評価され、街歩きマップとして販売されている実例もあります。
街づくりのベースとなる研究
街や建築においては、社会の動きや時間の経過がその空間を変化させていきます。複雑な要素がからみあってできている街を、各要素に分解するだけでなく、印象や雰囲気といった曖昧なものとしてとらえることは、街の全体像を複雑なまま把握することに近づきます。つまり、街づくりを考える上でのベースとなる方法論を提示する研究です。街歩きを楽しむことが、「どういう街をつくれば、歩いて、暮らして楽しいか」の探究につながるのです。
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先生情報 / 大学情報
長岡造形大学 造形学部 建築・環境デザイン学科 准教授 北 雄介 先生
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