空き家リノベーションによるこれからの時代のまちづくり
暮らしやすいまちを残していくための緊急課題
都市計画とは、生活している人にとって暮らしやすい環境を、物理的な側面から計画し、その計画を成り立たせるために、さまざまな条件を整える方法を考えることです。交通の整備や公共施設の設置、住宅地や商工業地域の開発など、新しく作りだしていくものとしてイメージされることが多いでしょう。しかし、現在多くの自治体が都市計画の一環として力を入れて取り組んでいるのが、空き家などの使われていない建物や空間を活用したリノベーションまちづくりです。
空き家が増えることによるリスク
近年、日本では空き家の急増が深刻な問題となっています。空き家ができると、景観や衛生的な不安が生じるだけでなく、防災・防犯面の危険性が高まったり、住民どうしの助け合いの力が弱くなったりと、地域やまち全体にさまざまな悪影響を及ぼします。新たにそこに住もうとする人も減り、さらなる人口減少に陥ることもあります。つまり空き家は、建物自体は財産であるにもかかわらず、まちの価値を下げてしまう存在なのです。
手を加えて、再活用!
ボロボロになった空き家でも適切に処置すれば、自分で住むことはもちろん、より高い値段で売る、もしくは貸すことができるようになります。その方法として注目されているのが「リノベーション」です。「リフォーム」は老朽化した建物を新築の状態に戻すことをさしますが、「リノベーション」は大規模な工事を行い、新築の状態よりも住まいの性能を高めて価値を上げることをさします。例えば、家事をスムーズに行えるよう出入り口の数や場所を工夫したり、洗濯の「洗う・干す・取り込む・畳む・収納する」をひとつの部屋で行えるランドリールームを設けたりすることなども効果的です。また、工事費を抑える方法の考案も、リノベーション文化の普及には欠かせません。
このように、空き家を生まれ変わらせ、使い続けてもらうための活動は、まちの衰えを防ぐという点において非常に重要な意味を持っています。
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先生情報 / 大学情報
岐阜女子大学 家政学部 生活科学科 住居学専攻 教授 黒見 敏丈 先生
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建築学、住居学、都市計画学先生が目指すSDGs
先生への質問
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