道路の凍結や立ち往生、冬の交通トラブルを「雪工学」で防ぐ!
道路が凍結する冬、交通事故を防ぐには?
冬に路面が凍結すると、車のスリップや事故などを引き起こします。また近年では、雪道での車の立ち往生による交通渋滞や通行止めも問題になっています。これらの交通トラブルを含む「雪害」について、工学的な観点から対策を考えていく研究分野が「雪工学」です。例えば、路面の凍結が起こるメカニズムを理論的に分析すれば、適切な対策を考え出せます。
気象や交通条件で変わる路面の状態を探る
路面の凍結は、熱移動で路面の温度が氷点下になると起こります。路面の温度は日光の当たり方や風の吹き方などによって変わりますし、道路上の水分の状態も、蒸発したり、車が通って飛散したりすると変化します。路面凍結への主な対策として、凍結防止剤の散布があります。塩化ナトリウム、つまり塩をまいて路面の水分を固まりにくくするのです。ただし、凍結防止剤をまきすぎると、コンクリート橋などに塩分が浸透し、内部の鋼材を腐らせてしまう恐れがあります。予算も限られるなか、より適切なタイミングで、適切な量をまく必要があるのです。また、路面の状態も凍結防止剤の効果に影響します。気象や交通、舗装の種類などによって変わる路面の状態と、そこに凍結防止剤をまいたときに起こる反応を推測できれば、適切に凍結防止剤をまくことができるようになります。
計算式で凍結防止剤を効果的に利用する
室内や実際の雪道でさまざまな実験を繰り返した結果、近年になって気象や交通、舗装の種類などによって路面の状態がどのように変化するかを、計算式で表すことができるようになりました。それにともない、気象条件や交通条件、道路の舗装条件などを入れると、凍結防止剤をまくタイミングや散布量を自動的に導き出してくれるプログラムの開発も進んでいます。今後、プログラムが実用化され、普及すれば、路面の凍結による事故を防げますし、安全で円滑な交通の実現により、雪国の経済を守ることにも貢献できます。
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先生情報 / 大学情報
福井大学 工学部 建築・都市環境工学科 准教授 藤本 明宏 先生
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