交通に必要な「インテリジェンス」

交通に必要な「インテリジェンス」

都市における環境によい乗り物

交通工学や交通計画という学問があります。交通によって人とモノと情報が移動します。道路や鉄道ができると、どのくらいの人々が利用するか、より早くより安全に移動するために乗り物は何を使うかや、環境に配慮した都市をつくるためには交通システムはどのようにあるべきかなど、将来のあり方も含めて交通に関する全般を扱います。

「インテリジェンス」が持つ意味

近年、インテリジェンスという言葉が注目されています。インテリジェンスには、知識という意味のほかに、情報という意味があります。アメリカのCIA(中央情報局)は「セントラル・インテリジェンス・エージェンシー」の略です。インテリジェンスとは、「さまざまなデータをいろいろな角度から分析し、得た情報が知識となり、そして将来の解決策や戦略を打ち出すプロセス」ということができます。交通においてもさまざまな問題を抱えており、またたくさんのデータがあります。そして、交通戦略を打ち出すためにデータを集め、研究していますが、そこにはインテリジェンスの概念が重要であると考えます。

利用者に最適な交通手段とは

交通計画では、例えば北海道に新幹線が開通した場合、利用者数の予測や利便性などを膨大なデータから分析します。東京―札幌間は現在、9割以上の人が飛行機を使っていますが、台風や大吹雪の影響で飛行機が欠航することも少なくありません。全国の大都市圏は、飛行機と新幹線の両方のアクセスが確保されていますが、飛行機しかないのは札幌ぐらいです。仮に新幹線が札幌まで延伸すれば、東京まで時速約350キロで走るとして4時間を切るだろうと予測されています。
また、世界各国で環境に配慮した街づくりが語られる時代となった今、車中心社会から公共交通に移行についても考えられています。交通の目的と状況に応じて、利用者や都市にとって最適な手段を選択できるよう、より快適な交通システムを構築するための研究が交通計画・交通工学に求められています。

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先生情報 / 大学情報

北海道大学 工学部 環境社会工学科 国土政策学コース 准教授 岸 邦宏 先生

北海道大学 工学部 環境社会工学科 国土政策学コース 准教授 岸 邦宏 先生

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国土政策・社会基盤学

メッセージ

どうして数学を勉強しなければならないのか、微分・積分が何の役に立つのか、考えてしまう人は多いと思います。しかし、どの分野に進んでも、分析するためには数式が必要となります。学問は、いずれそこへつながっていくものなのです。ですから、今やっている勉強が、将来の仕事に必ず役に立つものと思ってください。受験勉強のための勉強ではなく、その先にある自分の将来のための勉強なのです。交通計画に欠かせないインテリジェンスを磨くためにも、頑張ってください。

北海道大学に関心を持ったあなたは

北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。