東日本大震災のがれきはどう処理されたか
約9割が土木資材などにリサイクル
甚大な被害をもたらした東日本大震災の後、東北地方には津波などによって約3000万トンものがれきと津波堆積物が残されました。このがれきなどは、どのように処理されたのでしょう。実は、宮城県内(仙台市を除く)で約88%、石巻市では約96%が、土木資材などとしてリサイクルされたのです。これだけの量のがれきがリサイクルされたことは、世界的にも例がなく、非常に画期的なことです。宮城県には埋立処分場がないこともあり、当初の目標である80%を大幅に上回りました。ちなみに、1923年の関東大震災で出たがれきは、現在の横浜の山下公園の埋め立てに使われ、1995年の阪神淡路大震災では、海に捨てて処分されています。
リサイクルの方法は?
リサイクルの方法ですが、がれきは最初に大まかに分け、次に最新の機械を使ってさらに細かく分けますが、最終的には人の手で行われました。これだけ徹底的に分別できるのは、日本人ならではないでしょうか。それは、日本人に物を大切にし、感謝する文化があるからだと考えられます。分別されたコンクリートは、細かく砕き、防潮堤などの盛土などに使われ、強度の弱い津波堆積物は、セメント系固化材などで改良を加えて、やはり防潮堤の盛土に再利用されました。残った可燃物はすべて焼却されましたが、石巻市では、後に残った灰を固化処理して海洋埋め立ての資材として使われました。通常、焼却灰は埋立処分場に運ばれるので、これは初めてのケースでした。
リサイクルは全体のバランスが大切
今回のリサイクル事業について、「時間がかかった」、「経費が高い」などいろいろな意見がありますが、その本当の評価は後になってわかってくるでしょう。平時においても資源のほとんどを海外に頼っている日本は、物が増える社会構造になっており、リサイクルは今後ますます重要になってきます。目先のことばかり見るのではなく、全体のバランスや長い目で見て考えていくことが大切なのです。日本のリサイクル技術は世界最先端なのです。
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宮城大学 食産業学群 食資源開発学類 教授 北辻 政文 先生
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