金属の表面を削らずに滑らかにする「バニシング加工」

金属の表面を削らずに滑らかにする「バニシング加工」

3つの加工方法

鉄でフライパンを作るには、3つの方法があります。1つ目は材料の大きな塊の不要なところを削り取って形を削り出す方法、2つ目は塊を伸ばしたり折り曲げたりして形にする方法、3つ目はパーツを組み合わせる方法です。金属の表面を加工することも、実はこれに似ています。

金属の表面を滑らかに

金属の表面を平滑にしたいとき、硬い粒の入った研磨剤で磨く加工があります。研磨剤で磨くことで表面のでこぼこの山を削り、平滑に近づけていきます。これはフライパンの例でいうと1つ目です。一方で、バニシング加工という方法は、フライパンの例の2つめで、道路でアスファルトをならすローラー車のように、でこぼこの山を押しならして表面を均一化させるのです。このとき、軟らかい山はローラーでも加工できますが、山が硬かったり大きかったりすると下に押す力だけではつぶれません。その場合には、先端が半球形状の工具を使い、山を谷方向に倒すように力を加え、横にならして平坦にします。研磨剤で削ると小さなギザギザが残りますが、バニシング加工では山をならすことで表面が滑らかな形状になるので、ほかの部品とこすれたときに相手を傷つけにくい表面に仕上げることができることが特徴です。

環境にやさしい加工法

バニシング加工は金属の表面を硬くします。曲げた針金を元に戻そうとすると、曲げたときより力を加えないと戻りません。これは、金属には加工すると硬くなる性質があるからです。材料は硬いほど耐久性が増しますが、割れる危険性もあります。そのため、材質としてはある程度しなやかで柔らかく、表面だけが硬い材料が求められます。バニシング加工により、材料の2つの特性が一度に得られるのです。
研磨剤で磨く際には、スラッジという細かな削りカスと油が混ざった泥状のものが排出されるため、分離工程を含む廃棄処理が必要になります。加工時にこのような廃棄物を出さず、材料の体積を失わないバニシング加工は、環境にやさしい金属加工方法でもあるのです。

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福井大学 工学部 機械・システム工学科 機械工学コース 教授 岡田 将人 先生

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機械工学、生産加工学

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メッセージ

私は大好きな車やバイクに実際に触れることで、単に好きだという感覚が、面白いという興味へと変わっていきました。あなたも時間を忘れるくらい楽しいと思えることに対して、もっと距離を縮めてみてください。それには実際に触れてみること、飛び込んでみることが大切です。
そして、好きなことに没頭するだけでなく、その楽しみを原動力として勉強も頑張ってください。好きなことと勉強の両方に一生懸命取り組んでいくと、いつしかその両方が結びつくことがあります。大学ではそんな学びが待っています。

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