情報技術やさまざまな学問・研究手法を駆使して、橋の老朽化と戦う!
老朽化が避けられない橋
私たちは毎日、道路や橋といった社会インフラを使用しています。橋は単に人や車を通すだけでなく、テレビのCMやドラマでランドマークとして使用されるなどさまざまな魅力を有しています。その多くは高度経済成長期に作られ、老朽化が近年大きな問題となっています。例えば、鉄で作られた橋は腐食しないようにサビから守る必要がありますが、そのための塗装が劣化して腐食するなどの理由で老朽化が進行しています。
人力で見張るのは無理
橋は屋外に設置されるため、屋内で使用される製品に比べて使用環境が厳しいことが老朽化の原因となっています。老朽化に対して理想的なのは、現場で1橋ずつ調査・点検して、補修することです。しかし橋はスマートフォンのように大量生産ではなく、ひとつずつ地形に合わせて建設されます。現場ごとに温度、湿度、紫外線、風の向きや強さなども違うので、腐食の条件もすべて異なります。適切に補修しないと、またすぐに老朽化してしまい、橋の寿命を短くしてしまいます。そのため、橋の置かれた状況を把握したうえで、適切に補修することが重要になります。しかし、長い時間をかけて少しずつ進行する橋の老朽化を人力で監視し続けるのは現実的ではありません。
情報技術を制するものがインフラを制する
そこで、橋の3Dモデルから日照のシミュレーションをして、橋に降り注ぐ紫外線量を求めることで、コストや耐久性を考慮した持続可能な防食ができるでしょう。またアメダスデータや気象解析から橋の環境を予測して地震防災マップのような「全国橋環境マップ」を作成できれば、コストの大幅な節約になります。さらにドローンやスマートフォンなどを活用することで橋の老朽化に関する情報を効率的に収集でき、AIによる分析や3次元解析を行うことで高精度に橋の老朽化を予測できるようになるでしょう。このように、情報技術やさまざまな学問・研究手法を駆使して橋の老朽化と戦うことは、持続可能な社会に貢献できる研究です。
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名古屋工業大学 工学部 社会工学科 環境都市分野 准教授 永田 和寿 先生
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