高分子化合物 ポリマー

高分子化合物 ポリマー

消しゴムも車のバンパーも同じポリマー

消しゴムの材料としてはポリ塩化ビニルというポリマー(高分子化合物)が、最も多く使用されていました。このポリマーは塩素を含んでいるため燃やすとダイオキシンが発生してしまうという説もあり、今ではポリ塩化ビニルだけではなく、ポリオレフィンという、塩素を含まないポリマーを使用した消しゴムも登場しています。ポリオレフィンとは、さまざまな物質を含んだ非常に幅広い名称ですが、ポリプロピレン、ポリエチレンなどもポリオレフィンの仲間になります。製品で見れば、自動車のバンパーや潤滑油などもポリオレフィンに含まれます。

ポリマーは巨大な分子の集合体

ポリマーとは、複数の単量体(モノマー)が紐状に結合してできた化合物で、分子量が1万以上にもなる巨大な分子です。分子が紐状につながっているので、例えばピンと引き延ばすと2000ナノメートル(2マイクロメートル)程度の長さでも実際には数十ナノメートルの糸まり状になっており、体積はあまり大きくありません。ポリマーは衣料品、容器など身の回りに非常に多用されていますし、生きている人間の体の中にもタンパク質、核酸、デンプンなどさまざまな高分子が存在しています。いわば体そのものもポリマーで出来ているのです。

ゾルとゲル

高校ではコロイド溶液として学習していますが、1本1本の高分子がバラバラに溶媒に溶けている状態をゾルと言います。そして、ところどころほかの高分子と結合(架橋)して、溶媒に溶ける代わりに溶媒をすって、こんにゃくやゼリーのようになった状態をゲルと言います。食物にはゲルを使用した物が多く、例えば人工イクラは海藻からとれるアルギン酸という高分子の中のカルボン酸と、カルシウムと結合させることによって、架橋が出来て膜を張り、イクラのような食感を作っています。アルギン酸は海藻から抽出しているので、もちろん食べても大丈夫です。また、ゲルを使った機能性材料の研究開発も盛んに行われています。

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名古屋工業大学 工学部 生命・応用化学科/創造工学教育課程 教授 猪股 克弘 先生

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メッセージ

大学で行う研究は、手を動かして実験を行うということも重要ですが、基本は一生懸命考えるということです。実験などの結果から出てきたことが、どういう意味を持つのかということを考えることが、研究の基本です。これは人間として生きていく上でも同様で、毎日より良く生きていくためには、考えることが重要になるので、研究はその訓練になるでしょう。常日頃から物事をいろいろ考えるということを意識してください。

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