管理栄養士の仕事が「住んでいるだけで健康になれる街」を育む
健康増進に役立つデータを取る
食と健康は、多くの人々の関心事です。食品の栄養成分が体にどのように作用して健康を維持できるかという研究はたくさん行われており、「これを食べると健康に良い!」などの情報が、メディアでもよく取り上げられます。しかし実際には、食材が手に入りにくい、料理の時間がないなど、生活上の制約が人々の食習慣を変えることを妨げている現状があります。
そこで重要になるのが「栄養疫学研究」です。この研究では、学校や地域といったコミュニティに属する人々の栄養素摂取量や食行動を調べて、病気や健康との関連を明らかにします。その結果を見てはじめて、どうすれば健康的な食習慣を普及させることができるか、そのコミュニティの現実に即した対策が取れるのです。
研究結果に基づく地域の健康増進活動
これまでの栄養疫学研究により、野菜摂取量が少ないことが多くの疾患の要因になることが知られています。北海道江別市の住民を対象とした調査では、野菜摂取量が少ないことがわかりました。その結果を基に、啓発活動として野菜レシピコンテストが行われたり、地元企業と大学とのコラボレーションで、野菜を使った総菜パンが開発されたりと、さまざまな事業が行われました。
また、研究成果は、管理栄養士が行う栄養指導にも役立ちます。例えば、店で総菜などを買って家で食べる「中食」の利用が多い人は、野菜摂取量が少ないことが研究でわかっています。こうした科学的根拠によって、食生活改善への糸口を見つけることができます。
夢は「住んでいるだけで健康になる街」
栄養指導だけでなく、給食や社員食堂の献立作りや、中食などの商品開発などにも関わっている管理栄養士は、コミュニティ全体の健康増進の要とも言えます。きちんと栄養計算をした上で、おいしく食べてもらえるように工夫した給食の献立や手軽に買える商品があれば、人々は自然に体によい食事をとることができます。
栄養疫学研究と管理栄養士の活躍で、「住んでいるだけで健康になれる街」となることが理想です。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類 管理栄養士コース 准教授 小林 道 先生
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