実はすごい! 高分子の研究で進化する「包装技術」
いたるところに使われている包装技術
高分子の性質を利用した包装技術(パッケージング)は、現代の社会生活のいたるところで活用されています。スーパーマーケットやコンビニに並ぶ食品の包装から、スマートフォンや電気自動車に使うバッテリーの包装まで、その用途や形状はさまざまです。身近すぎて見過ごされがちなこの技術が私たちの生活を支えているのです。
進化を続けるパッケージング
パッケージングの技術は時代とともに進化を続けています。スナック菓子のパッケージングを例に挙げます。これには「密封性」と「開けやすさ」という2つの相反するニーズが隠れています。以前は密封性が重要視され、開封はハサミで切ればいいという考え方でした。力ずくで開けようとして中身が散らばってしまった経験を持つ人もいるでしょう。しかし今は、密封性はそのままに、袋を開く際にもそれほど力を必要としなくなっています。
パッケージを封止する(貼り付けて封をする)箇所は、包装素材の高分子の種類と組み合わせが工夫されており、熱やレーザーなどの封止する方法によって強度や開封のしやすさが変わります。試行錯誤を繰り返し、道具を使わずに手で簡単に開封できるようになった現在は、封止して開封を1回だけ行う機能は、完成のレベルに達していると言えます。
研究が進む「再封止」の機能
現在、確立を期待されているのが、封止と開封が何回もできる「再封止」の技術です。ジッパーに代表されるものはすでにありますが、微量な空気の漏れなどジッパーで解決できない問題をクリアする新技術の開発がこの分野での次なる目標となっています。
モノを無駄にしない「SDGs(持続可能な開発目標)」や、誰でも利用できる「ユニバーサルデザイン」の考え方、また対照的に安全性確保のため子どもには利用できないようにする「チャイルドレジスタンス」の考え方など、まだパッケージの分野には反映されていない考え方も取り入れ、ニーズに合わせた技術を低コストで供給できるよう、研究が続けられています。
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先生情報 / 大学情報
山形大学 工学部 システム創成工学科 准教授 宮田 剣 先生
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