細菌などから健康を守る手洗いの方法とは?
「手洗い」と「手指消毒」の違い
感染症予防の観点から、手洗いが重要視され、「きれいに手を洗いましょう」と呼びかけられる機会も増えています。石けんと流水を用いる方法が「手洗い」、擦式アルコール製剤を手に擦り込むことを「手指(しゅし)消毒」といい、厳密には区別されています。擦式のアルコール製剤は水がない場所でも使えるという利点があります。ただ、くしゃみをして唾などの有機物が手に残っている場合は、石けんと流水を用いた手洗いの方がよく落ちます。アルコール製剤で消毒する際には、有機物が邪魔になるのです。「手洗い」と「手指消毒」を合わせて、「手指衛生」といいます。
手洗いのタイミングはいつ?
自分の家の中の菌は、もともと自分の持っている菌なので、問題になることは少ないです。問題になるのは外でいろいろな人と接触したり、人がさわったものに触れたりする際に手につく菌です。これを「通過菌」といい、病原性微生物が体内に入るきっかけになります。
とはいえ、手に通過菌がついていると、すぐに感染症にかかるわけではありません。通過菌のついた手で、目をこする、食べ物をつまんで食べる、という行動が感染を引き起こします。目や鼻、口など粘膜が露出している部分に手が触れたり、近づいたりすると、細菌が体内に取り込まれるリスクが高まるのです。そういう意味では、食事の前に手を洗うのは理にかなっています。なんとなく手を洗うのではなく、どのようなタイミングでの手洗いが効果的か考えることも必要です。
手洗いの大切さを子どもたちに伝えよう
手洗いは、幼児期に幼稚園や保育園などで習うことが多いでしょう。子どもの頃に正しい手洗いの方法を学習しておくと、大人になっても役立ちます。これからもいろいろな感染症が発生する可能性がありますから、その時にあわてないように、正しい知識と習慣を身につけておくことが大切です。一人ひとりに、エビデンス(根拠)に基づく手洗いの方法を浸透させることが望まれます。
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福井県立大学 看護福祉学部 看護学科 准教授 東 知宏 先生
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