ドライバーの安全運転教育を、ゲーム感覚でできるシステムって?
交通事故の大半は、ドライバーの認知ミス
歩行者を認識すると音を発してドライバーに知らせたり、目の前に障害物が迫ると自動ブレーキがかかるなど、歩行者もドライバーも守ることが期待できる自動運転技術の実現は重要です。しかし、やはり重要なのはドライバー教育です。交通事故の多くがドライバーの安全確認不足や前方不注意などの認知ミスによって引き起こされ、こうしたミスによる歩行者の死亡事故が最も多いという現状があるためです。そこでドライバー教育に役立つ歩行者認知訓練システムの開発が進められています。
ゲーム感覚の訓練で確かな効果
この訓練システムは、タブレットPCに再生される映像の中に歩行者を見つけたらその場所をタッチする、という簡単なものです。反応の速度だけでなく、視線計測装置によって運転中の視線の傾向や注視している場所の測定も可能です。またそのデータを、事故のない熟練ドライバーと比較することで、自分のクセのようなものに気づき、運転中の意識を変えることもできます。
ドライブレコーダーで撮影した映像を使用しているので、実際に運転しているような感覚です。また雨や雪の日、夜間など多様な場面で訓練ができます。ゲームのように繰り返し行うことで、映像中に歩行者が出現してからタッチパネルに触れるまでの反応時間が短縮できることは、これまでの実験で明らかになっていますが、この成果が半年後や1年後まで継続するのかなど、さまざまな検証が必要です。
身近な訓練ツールとして期待
視線計測装置をPCに組み込んでコンパクトにすれば、いろいろな場所に設置できる訓練ツールとしての活用も期待できます。歩行者を複数人にしたり、実際に事故の多い所や見えにくい交差点の映像にするなど、訓練用映像の多様なバリエーションも今後の課題です。運転中は予期せぬことが発生するものです。自動車の安全技術に頼るだけではなく、ドライバーを教育することも、歩行者の安全を守り、またドライバー自身の身を守ることにつながります。
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先生情報 / 大学情報
秋田県立大学 システム科学技術学部 情報工学科 教授 猿田 和樹 先生
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