つらいときこそリラックス 心と体の調子を整える「呼吸法」
「吸う」より「吐く」に意識を向ける
気持ちを落ち着かせようとするとき、深呼吸をするとよいと聞いたことがあると思いますが、実際にやってみると、リラックスできない場合もあります。それは息を深く吸っているだけだからです。リラックスするための「呼吸法」は、息を吐くことを意識します。息を鼻から吸い、倍ぐらいの長さで口からゆっくり吐きます。吸ったときにお腹がふくらむ腹式呼吸ができるとよりよいです。最初は息苦しく感じる人もいるかもしれませんが、練習して慣れれば大丈夫です。慣れてくると、数分の実施でも気持ちが落ち着いたり、手が温かく感じたり、脈拍数が下がったりします。これらは、リラックスしたときにみられる反応です。
心と体はつながっている
緊張しすぎて頭やおなかが痛くなったり、心配事があって食欲がなくなったりした経験はありますか。また、痛みがあったり、強い疲労感があって、気持ちが落ち着かなくなったりしたことはありますか。心と体の状態は、それぞれに影響を与えます。不安や緊張、痛みなどがあると、人は無意識に体を緊張させてしまいます。この体の緊張を、呼吸法や筋弛緩法などのリラクセーション法によってゆるめることができると、気持ちが落ち着き、痛みなども和らぎます。慢性的な痛みなどのつらい症状があった人が、症状が和らいだことで、物事を客観的にとらえることができるようになります。
誰もができるセルフケア
リラックスする方法として、アロマセラピーやマッサージなどもありますが、これらは、必要な道具を準備したり、誰かにやってもらったりすることでリラックスしやすくなります。呼吸法や筋弛緩法などのリラクセーション法は、特別な道具を必要とせず、慣れれば誰でも、いつでも、どこでも自分一人で実施でき、リラックスできる方法です。国内では技術を知る看護師がまだまだ少なく、研究も少ない状況ですが、海外では看護技術として広く用いられています。セルフケアとしての効果や有用性がわかってきており、国内でも普及していくことが期待されます。
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群馬大学 医学部 保健学科 講師 柳 奈津子 先生
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