眠れない夜を、東洋医学で救う!
睡眠不足は身近で深刻な問題
先進国の中でも、日本は睡眠時間の少なさと睡眠の質の低さから危険信号がともっています。一般的なデータとして、睡眠時間が6時間以下だと生活習慣病やうつ病、心筋梗塞などのリスクが高まるとされます。8時間以上の寝過ぎもまた、睡眠の質が下がるとされています。不眠が続くと脳内の疲労物質や老廃物がうまく排出できなくなり、疲れがたまっていきます。勉強や仕事など、多くのエネルギーが必要な状況では脳の老廃物も多く、そうなると眠りたいという欲求が出てくるため、集中力が持続しにくくなるのです。休息と活動をつかさどる自律神経が弱り、前述のような病気につながる可能性が高まります。
鍼灸治療と西洋医学の合わせ技
いわゆる不眠の治療に、西洋医学の睡眠導入薬と東洋医学の鍼灸を一緒に使うと、症状の改善が早まるというデータが数多くあります。鍼灸治療は西洋医学との「合わせ技」が得意なのです。歴史の長い東洋医学は、人体のツボに鍼や灸をする治療体系を確立しています。ツボの範囲は500円硬貨ぐらいと考えてよいでしょう。鍼を刺すと皮膚の奥にある基底層や真皮層の血管を拡張させ、身体のさまざまな細胞に血流が送り込まれ、細胞の回復と成長を助けるのです。
カジュアルに使えるお灸に注目
一方、灸は市販品が流通していて腕や脚などのツボだけでも使えるので、自宅でも手軽にできるセルフケアとして、眠りの改善にも効果的です。灸のメカニズムは熱刺激によるものです。数分で皮膚が一時的に赤くなるのは軽い火傷(やけど)を起こしているのです。この炎症を受けて鎮痛物質やリラックスさせる物質が出るほか、炎症を治そうとして白血球も活発に活動します。血管が拡張するので冷えが取れ、鎮静効果によって筋肉の血流が戻って眠れるという効果が期待されます。鍼灸いずれも長い歴史がありながら、睡眠と関わる科学的検証はまだ始まったばかりです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
明治国際医療大学 鍼灸学部 鍼灸学科 講師 山﨑 翼 先生
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