看護技術の習得をデジタルと反転授業で!
看護教育のデジタル化
看護学では、基礎教育の段階で修得すべき13項目71の「看護技術」があります。これらの技術を一定の授業時間の中で効率的かつ適切に修得するために、看護教育の現場にも「ICT」の導入が進められています。また、看護には患者一人一人に合わせた技術を展開する能力が必要であり、医療が進歩する中で質の高い看護を提供し続けるためには、看護師自身が常に学び続ける姿勢も求められます。この能力を養うために、学生が事前に学習内容を予習して、授業ではその予習内容に基づいて演習を行う「反転授業」が行われています。
点数がアップ
反転授業を導入したある看護大学では、対象の患者に適した看護を判断・実施できることを目標に、授業時間の大半をチーム活動にしました。また、能動的な学習を促進するために、実演者の様子を2つの角度から同時撮影し録画するシステムの導入や、実習用のベッドサイドにモニターを設置して、録画した動画などの教材を見ながらチームで意見交換をできるようにしました。この結果、実技試験での再試験者が、導入前の80人中20人以上から、導入後には3人に減少しました。また、導入前の平均点が低かった2つの項目が、導入後にはほかの項目よりも高い平均点になったという結果が出ています。
さらに反転授業における効果を確認するため、同じ授業のICT導入前と後をそれぞれ履修した学生を対象に実施した質問紙調査では、勉強へのやる気を示す「動機づけ調整方略」や、「協働的な学習方略」において、導入後の方が高い得点が出ています。ICTと反転授業の相乗効果が、技術習得に大きな効果をもたらしたことがわかりました。
将来の授業
教育DXでは、単なるデジタル機器の導入だけでなく目的に合った授業設計をした上で、それを実現するための方法としてICTを活用することが大切です。看護学を学ぶ上では、技術習得とともに、臨床での緊張感を乗り越える精神力も必要であり、将来的には臨床を詳細に再現するシミュレーターやVRによる授業が期待されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。