地域住民の健康を守る看護師・保健師
「家族介護者」に必要な支援は?
自宅で暮らす要介護の高齢者が増えるにつれて、家庭で介護を担う「家族介護者」も増え、家族介護者へのサポートが社会課題となっています。
家族介護者は介護が生活の中心になり、自分の人生や幸せが後回しになってしまうことがあります。家族介護者をサポートするには「要介護者の家族介護力」として介護負担や不安を軽くするだけでなく、その人自身の「生活」「人生」「幸せ」という視点でどんな支援があればいいのか考えることが大切です。
看護師や保健師の存在が幸福感に
「幸せだ」「うれしい」といったポジティブな感情は、運動やバランスのよい食事など、健康的な行動をとる意欲につながることが看護学の先行研究で報告されています。また、家族介護者がどんなときに幸せを感じるかのインタビュー調査の結果、家族介護者は「要介護者と穏やかな時間をすごせるとき」「家族が寄り添ってくれるとき」「友だちや近所の知り合いとおしゃべりするとき」「介護から離れて自分の時間・趣味の時間をもてるとき」「保健師、訪問看護師、ケアマネージャーなどの専門家が自分を支えてくれるとき」に幸せを感じることがわかりました。
この研究結果も示しているとおり、看護師、保健師などの専門家は家族介護者の幸福感につながる存在です。専門家には介護のサポートだけでなく、家族介護者自身が幸せになるような働きかけをすることが求められているのです。
人々の健康を守る保健師
保健師は人々が病気にならないよう、病気を予防したり、病気が悪化しないよう健康維持をしたりするための保健活動をするのが仕事です。また、一口に保健師といっても、働く場所によっていくつかの種類があります。地域の保健所や市町村保健センターで働く「行政保健師」、企業の医務室などで働く「産業保健師」、小学校や中学校などで働く「学校保健師」などです。このうち、行政保健師は、地域で暮らすあらゆる世代の人々(乳幼児から高齢者まで)を対象に、健康を守るための活動をしています。
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先生情報 / 大学情報
新潟県立看護大学 看護学部 地域生活看護学領域 地域看護学 教授 高林 知佳子 先生
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地域看護学、公衆衛生看護学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?