空間を誰もが使いやすいものに ユニバーサルデザイン
トイレは広いほうがいい?
誰もが使いやすいユニバーサルデザインのトイレと聞くと、多くの人は広い個室のトイレを想像するかもしれません。確かに車椅子使用者の意見を集めると、「トイレは広ければ広いほど使いやすい」という傾向が見られます。しかし一方で、視覚に障がいがある人からは「広いと空間を把握しにくくなり使いにくい」という意見も出ました。ユニバーサルデザインを実現するには、こうした正反対の意見をどちらも考慮しなければなりません。
政策の壁を取り払う
専門家がさまざまな環境や立場の人に適したユニバーサルデザインを提案しても、実現させる段階で政策の壁が立ちはだかることがあります。公共施設の建築や改築には税金が使われるため、「ユニバーサルデザインを必要とする人は少ないから」と反対する人も多いのです。また、ユニバーサルデザインが義務化されていないことを理由に、改築を後回しにする人もいます。韓国では、ユニバーサルデザインの専門家がバリアフリー法の基準の改正に関わりました。専門家が建築だけでなく政策にも携わり、ユニバーサルデザインを広めやすい環境を作ろうとしているのです。
多分野との協力
ユニバーサルデザインの普及には、建築や法律、福祉などさまざまな分野の専門家が協力することが重要です。例えば法律の専門家は建築にあまり詳しくないため、建築基準の法律を大まかに作ってしまいがちです。福祉の専門家も自分が知っている障害や症状の範囲で意見を出す傾向が見られます。するとほかの障害がある人には使いにくい空間ができてしまうかもしれません。一方で建築の専門家は、法律や福祉などに詳しくないため、一般的な住みやすさやデザイン性などを重視しがちです。ユニバーサルデザインを広めるためにも各分野の専門家や空間の使用者から意見を集め、必要な法律や、誰もが使いやすくなる建築基準などの研究が行われています。
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