知れば知るほど夢中に! ゲーム業界の仕組みと競争戦略
ゲーム会社が勝ち続けるための競争戦略
もしあなたがゲーム会社の社長だとしたら、どうやって利益をあげますか? 本体価格を高く設定し、人気ソフトを次々に発売して…と、残念ながらそう簡単にはいかないでしょう。かつて任天堂は、自社ハードの「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」を低価格に設定し、まず多くの人に所有してもらう戦略をとりました。そのうえでソフトをたくさん買ってもらうことで、大きな収益を得ることに成功したのです。当然、ソフトを作る会社は、マイナーなゲーム機よりも広く普及しているゲーム機を選びます。その結果、ファミコンからは国民的タイトルのゲームが次々に誕生しました。「ゲーム機をヒットさせた企業が有利」という状況は、現在も変わっていません。
優れた仕組みを作った企業は強い!
オンラインゲームでは、ソフトを作る会社が自社サイトで作品を発売できます。しかし、売上アップを狙うのであれば、手数料を支払ってでもGoogle、Appleといった大規模なプラットフォームを介した方が効果的だと言われています。優遇されやすい小規模のプラットフォームと取引する選択肢もありますが、前出のプラットフォームの影響力は絶大です。日常生活においても、例えばGoogleのサービスがないと不便を強いられることがよくあります。どのビジネスも、「これがないとうまくいかない」という仕組みを作った企業が強いのです。
掘り下げて調べると事実が見えてくる
ところで、任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」は、なぜ品薄が続いたのでしょうか。インターネット上では、転売目的による買い占めという意見が散見されます。しかし出荷数と転売数を照らし合わせると、その影響はわずかだということがわかります。さらに調査すると、海外に製造を委託し、過剰在庫を避けるため最初は少量生産するといった原因が見えてきました。このように、競争戦略を研究することで、ビジネスの世界の事実があぶり出されてくるのです。
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大阪商業大学 公共学部 公共学科 教授 松村 政樹 先生
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