究極の性能を持つソーラーカーには何が必要?
過酷なレースを走破するソーラーカー
車体の表面に装着した太陽電池パネルから得られる電力で走る自動車が、ソーラーカーです。オーストラリア大陸を縦断する全長約3,000キロのコースで1987年から開催されているワールド・ソーラー・チャレンジをはじめ、その性能を競い合うレースは世界各地で開催されています。
太陽の側に視点を置いたシミュレーション
ソーラーカーの性能を左右する要素には、大きく分けて、車体の「空力性能」と、太陽電池パネルの「発電性能」があります。空力性能を追求すると、車体は丸みを帯びた流線形になっていきます。太陽電池パネルの発電性能は、車体の形状が平らであるほど向上します。車体の空力性能と太陽電池パネルの発電性能は、相反する関係にあるため、車両として最大の性能を発揮できるように設計する必要があります。
車体の表面の太陽電池パネルの配置を検討する際、どの部分にどのような形で装着するとどのくらいの電力が得られるのかをシミュレートすることは不可欠です。車体の表面に湾曲した形で装着する太陽電池パネルの発電性能を算出するのは、従来の太陽電池から太陽の光量を計算する手法では難しく、誤差も大きくなりました。しかし現在は、太陽側に視点を置き、そこからソーラーカーの車体がどう見えているのか、影の部分は車体のどこに生じるのかを画像解析で計算できるようになりました。それらに基づいた発電性能のシミュレーションを行うことで、理論値との誤差を0.1パーセント程度にまで減らすことに成功しています。
ドライバーの技量による車両性能のばらつきをなくすには
高性能なソーラーカーでも、ドライバーの技量次第でその性能を十分に発揮できない場合があります。ドライバーによるばらつきを根本からなくすためには、自動運転技術や、AI(人工知能)によるパターン分析などが必要になるでしょう。もし、それらの技術がすべて統合されたら、発電から走行、運転に至るまで、本当の意味で究極の性能を持つソーラーカーが誕生するかもしれません。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東海大学 工学部 機械システム工学科 講師 佐川 耕平 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
機械システム工学、電気電子工学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?