作業に適したAIを、AIが決める?!
脳の情報処理
人間の脳の中には神経細胞があり、それが集まって人の顔を認識したり声を聞き分けたりしています。1個の神経細胞の動作は、外部からもらった電気信号を処理して次に送るという単純なものですが、それがたくさんつながることで複雑な情報処理をしています。生まれたばかりの赤ちゃんは、神経細胞同士の結合を経験によって変えていくことで情報処理の仕方を学んでいきます。この脳の仕組みを数式で表現してコンピュータ内に構築したものが人工知能(AI)です。
宝石の画像を修正する
現在はさまざまなところにAIの応用が進んでいます。その一つに画像処理があります。例えば、高価な宝石をネット販売する時、実際に手に取って見るのと同じくらい正確な画像が望まれます。しかし、宝石は多面的に光を反射することから、これまでは熟練した専門家がソフトウェアを使って写真1枚1枚に時間をかけて画像処理をしていました。
そこで、AIに画像処理の方法を学ばせてみます。処理前の画像と専門家による処理後の画像をAIに見せますが、専門家が行った作業の手順は教えません。作業手順は前後の2つの画像からAIに判断させるのです。そのため、AIが選択した作業手順によっては、できあがる画像が違ってきます。あるAIは、白い背景ならきれいに仕上がるけれど、黒い背景になると色が判別できない。あるAIは、ゴールドは上手だけれど、シルバーは調整できないなど、AIによって作業の得意・不得意がでてきます。そこで、それぞれの処理に特化した別々のAIを育てておき、どのAIに任せるかを決めるAIを前に立たせることで、この問題を解決しています。
研究が加速するAI技術
チェスやオセロの対戦でAIが人間を負かしても、複雑な囲碁の対戦で勝つことは不可能だと言われていました。しかし、そのわずか数年後にはAIが勝利するほど、AIの研究は急激に加速しています。近い将来には、身の回りのあらゆるところにAIが利用されている生活が訪れるかもしれません。
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東海大学 情報理工学部 情報科学科 教授 尾関 智子 先生
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