スマホやパソコンが使えなくてもLINEができるの?
スマホを使うのが難しい人もいる
スマホやパソコンを毎日当たり前のように使う人もいれば、「操作が難しい」と感じる人もいます。なかでも高齢者は、デジタルに対してハードルを感じる人が少なくありません。そんな高齢者に、スマホ教室に通ってもらって習得してもらうのも一案ですが、技術の力で補うこともできます。
ソーシャルメディア仲介ロボット
高齢者が人型ロボットに話しかけるだけで、LINEのメッセージ機能が使えるという「ソーシャルメディア仲介ロボット」の研究があります。自宅に置かれたロボットに「今朝は〇〇さんと散歩したよ」と話しかけると、そのメッセージがクラウドサーバーに送られて音声認識され、テキストに変換されます。クラウドサーバーにはあらかじめAI(人工知能)が搭載されており、テキストを機械学習したAIによって、メッセージの宛先(家族、友人、ケアマネジャーなど)が推定されて送られます。宛先が息子だとすると、受信した息子が「どこに行ったの?」とLINEでテキストメッセージを返信すると、それが音声に変換されてロボットに送られる、という仕組みです。この場合、宛先の「正解」を知っているのはメッセージを発した高齢者だけですが、高齢者が宛先を入力することはありません。返信の内容をAIに機械学習させて宛先を推定させる方式なのです。
技術から人に近づいていく
このロボットを使った高齢者は、若年者に身近なツールであるLINEを使えるようになり、コミュニケーションの頻度が増えました。また、開発当初は「高齢者とその家族」でのやりとりに主眼が置かれていましたが、実際に使ってみると、家族全体のコミュニケーションが深まったという声も聞かれました。また、使えば使うほどAIの機械学習も進み、宛先の精度も高まっていきます。LINEという便利なツールを、技術の力でより楽に使ってもらうという、「技術から人に近づいていく」思想に基づく研究と言えるでしょう。
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長崎大学 情報データ科学部 情報データ科学科 インフォメーションサイエンスコース 教授 小林 透 先生
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