進化でも食物連鎖でも「中間」にいる両生類の解明
進化の「中間」にいる両生類
両生類とは、魚類から進化して陸に上がった最初の脊椎動物です。カエル、イモリ・サンショウウオ、アシナシイモリの3つのグループがあり、水中で生きる種、陸上で生きる種、両方で生きる種があります。
両生類から進化して、爬(は)虫類、鳥類、哺乳類が誕生しました。両生類は、進化の系統において、水中の動物と陸上の動物の中間に位置しているのです。
多様で多彩な未解明のジャンル
両生類は多様な形態と生態を持っていることが大きな特徴です。生息地が水と陸の両方にまたがり、繁殖の方法も多様です。形態も多彩で、四肢がそろっている種、前肢しかない種、四肢がない種もいます。水から陸に上がった彼らは、それぞれの環境に適応して生き延びるために、試行錯誤を重ねて自らを変化させたのでしょう。中には適応に失敗して姿を消した種もいます。両生類は今も年間180種類もの新種が発見されており、未知の領域が多いジャンルでもあります。この未解明で多様多彩な両生類を、遺伝子学や地理学などを駆使して分類し、体系化して整理することが、系統分類学のテーマです。
食物連鎖と両生類
両生類は水陸の両方の環境を必要とするので、彼らが生きやすい環境を知り、保全することは、多くの動物にとって望ましい環境を探る手がかりになり、環境全体を保全することになるはずです。さらに、両生類は食物連鎖のピラミッドで中間に位置しています。例えば、カエルは虫を食べると同時に、ヘビや鳥の餌になります。カエルがいなくなると、虫が増えすぎて虫の媒介する感染症がまん延する危険性や、増えた虫に植物がすべて食べられてしまう可能性が増します。また、ヘビや鳥の餌が減り、彼らを食べる哺乳類の生存も危うくなります。食物連鎖のうえから、両生類は重要な存在なのです。
生息環境からも食物連鎖の視点からも、中間にいる両生類について解明を進めることは、望ましい地球環境の保全や生態系の維持にとって、大きな意味のあることなのです。
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先生情報 / 大学情報
京都大学 総合人間学部 地球・生命環境講座 教授 西川 完途 先生
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