体外受精から体内受精へ 両生類の進化に隠された生存戦略

体外受精から体内受精へ 両生類の進化に隠された生存戦略

進化とともに受精も変化

脊椎動物には、長い歴史の中で受精様式が変化してきたものがいます。生物学の研究によって、両生類の進化と受精様式の変化は関係が深いことがわかってきました。両生類は、受精様式の変化に応じて精子の形状が進化してきたと考えられています。そこで、体外受精をしている両生類と、メスの体内で受精をする両生類を比較しながら受精様式が進化したプロセスや体のメカニズムなどが研究されています。

体内受精の利点とは?

体内受精ならではのメリットは、オスから精子を受け取ってしまえば、メス単体で時期を調整した受精ができることです。体内受精をする動物は、メスが体の中で精子を一定の期間貯蔵しています。哺乳類でも数日間、両生類の場合は実に数カ月間も貯蔵するものが多く見られます。そのためオスから精子を受け取ったメスは、すぐに受精をする必要がありません。子作りに適した気候や場所などを選んで、より確実に子孫を残すことが可能になったのです。しかし精子は時間がたつにつれて劣化してしまいます。それを防ぐために、体内受精をする動物はなんらかの貯蔵メカニズムを持っています。

精子を劣化させない工夫を探る

精子を劣化させずに貯蔵するメカニズムを探るため、両生類のアカハライモリを対象に、受精に関係した遺伝子やタンパク質の分析が行われています。遺伝子の分析では、「次世代シーケンサー」という技術が用いられています。この技術で遺伝子の情報を解読し、受精にどのように関係しているのか調査が行われました。また、受精に使われるタンパク質を分解し、アミノ酸配列の解読も行われています。
その結果、アカハライモリのメスが精子を貯蔵する場所の細胞からは、精子を劣化させない成分が出ている可能性が高いことがわかってきました。これは哺乳類や鳥類とは異なる貯蔵方法です。その成分の詳細などを明らかにするためにも、さらなる研究が求められています。

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山形大学 理学部 理学科 生物学コースカリキュラム 教授 渡辺 明彦 先生

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研究活動に取り組んでいる高校生と交流したとき、だれもがとても楽しそうな表情をしていました。興味のあるテーマに対して「楽しい」「おもしろい」と感じる気持ちは大学に来ても大事にしてほしいと思います。そうした感情は学びへのモチベーションにつながるので、実験や観察にもいっそう身が入るはずです。
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