自分を客観視する「メタ認知能力」を理科の授業で育む
焼きそばにレモン汁をかけるとどうなる?
紫キャベツと焼きそばをいっしょに炒めるとどうなるでしょうか。答えは「麺が緑色に変わる」です。紫キャベツにはアントシアニンという色素が含まれており、この成分はアルカリ性に触れると青みがかります。アルカリ性の麺と化学反応を起こすことで、このような色の変化が見られるのです。また、焼きそばにレモン汁をかけると麺がピンク色に変わります。これも化学反応です。これらの変化はすべて理科の知識があれば理解できることです。
理科が苦手な人は、どこかに暗記中心の科目というイメージを持っているのかもしれません。確かに暗記が必要な部分もありますが、理科の大きな魅力は、学んだ知識について実際に自分で実験をしたり観察をしたりして体験できる教科であるということです。
カマキリの脚を正しく描けますか?
続いての質問です。ダイコンの根やカマキリの脚を正しく描けますか? 「ダイコンの根と茎の境目」「カマキリの脚が生えている場所」「カマキリのカマは脚に含まれるか?」など、頭の中ではイメージできても実際に正しく描写するとなるとなかなか難しく、多くの子どもたちが間違ってしまいます。このような、自分ではわかっているつもりでも正しく理解できていないことを「誤概念」と呼びます。
理科の授業で、自分を客観視する視点を獲得
自分ではわかっているつもりでも、実際にはわかっていない、そのことに気づくには「メタ認知能力」が必要です。「メタ」とは一段階上の概念を意味します。自分自身を客観的に見られるようになると、自分が理解できている点と理解できていない点とが自覚できます。頭の中で理解して終わりではなく、実験や観察を通じて自分が知らなかったこと、わかっていなかったことに気がつく、理科とは自分の誤概念を発見するための最適な授業だといえます。そしてメタ認知能力を育成することで、あらゆる科目で受身ではない能動的な学びができるようになるでしょう。
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高知大学 教育学部 学校教育教員養成課程 理科教育コース 准教授 中城 満 先生
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