学習者コーパスが導く、真の英語コミュニケーション力とは?
英語学習に活用される「学習者コーパス」
英語を学習する際には、まずは学習者が今のスキルを適切に把握することが大切です。スキルを評価するためのツールに活用されているのが「学習者コーパス」です。学習者コーパスとは、母語ではない言語を学習している人から集めた言語データベースのことです。例えば、英語を学習している人が話している録音データ、書いた文章、読んでいるときの目の動き、リスニングの理解度などのデータを集めます。この学習者コーパスを使うことで、学習者の間違いの傾向や、学習の成果を分析できます。
音読でTOEICの点数を予測
例えば、イソップ童話の『北風と太陽』のような、英語の特徴的な音声を含む文章を読ませて発音の習熟度をデータベース化します。その学習者コーパスを応用すると、発音の習熟度からTOEICの点数を予測するツールを開発できます。客観的に自分の学習レベルがわかることで、英語学習を続けるモチベーションにつながり、試験対策を講じることもできるでしょう。一方、教師にとっても、英語教育に学習者コーパスを活用することで、学習者一人一人に合ったきめ細かい指導が可能になるというメリットがあります。
コミュニケーションは言語だけではない
英語学習では、文法や単語を覚えることに意識が向きがちですが、実際のコミュニケーションでは、相手の表情や身ぶり手ぶりなど、言語以外の要素も大切です。最近では、英語を話す際の表情や体の動きもコーパス化が進んでいます。そのコーパスを分析してみると、初級者と上級者では体の動きが違うことがわかりました。
英語に限らず、言語を学ぶ目的は、単に言葉を使えるようになるだけではありません。相手と適切にコミュニケーションを取り、社会をより良くしていくためには、言語だけでなく非言語的な要素も理解する必要があります。コーパスは、そのような言語の多面的な理解に役立つツールとして、今後も活用の幅が広がっていくでしょう。
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