子どもを伸ばす理科教育で世界へ羽ばたく人材を育てる
探究型理科教育の必要性
現在の日本の理科教育は、児童や生徒が受け身の、知識詰め込み型教育が主流です。しかし、リーダーとなって活躍できる人材を育てるには、自分から動いて学ぶような「探究型」の教育が必要です。そこで、フィンランドで行われている「コンピテンス(資質・能力)基盤型理科教育」を取り入れて、詰め込み型教育から「何かができるようになる教育」に変換していくための研究が行われています。
実際の教育現場では、自身に探究の経験がない先生は、探究型教育を行うことが苦手である傾向がみられます。教育者として探究を経験するためにも、さまざまなテーマに取り組み、それをいかに理科教育で実践していくか、研究が進められています。
生命観を育むための実習授業
そのひとつが「子どもたちの生命観をどう育てるか」というテーマです。生命の尊重は社会科や保健体育でも教えられていますが、人間の生命に限定されています。生物教育においては、人間もほかの生物もお互いが関わり合って生きているという観点から、生物全般の命の尊重を理解しなければなりません。
そこで、本物の生き物に触れる体験をするために、解剖実習を取り入れる試みが行われています。解剖といっても生きた動物を殺すのではなく、豚の内臓の形態や仕組みを観察する実習です。実習の前後で命に対する考え方や生物に対する理解の変化を測定したところ、生物への理解の深まりが見られました。実習から1年後にも再調査を行い、解剖実習の効果を検証します。
コンピテンス基盤型教育を全国に広める
前の学習指導要領の改訂では、コンピテンス基盤型教育の考え方に基づき、子どもたちの資質や能力の育成に重きを置くような教育方針への変更が行われました。しかし学校の現場ではいまだにうまく取り組めていないのが現状です。探究型教育が教育現場に浸透しない原因を突き止め、必要であれば大学や教育行政からの支援も行って、子どもたちの可能性を育てる理科教育の日本全国での実施が目標とされています。
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酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 教授 金本 吉泰 先生
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