「理科が好き!」を増やすには?
理科を学んでも役に立たない?
OECD(経済協力開発機構)が、15歳の生徒を対象に「生徒の科学に対する態度」に関する調査を実施しています。「理科が自分の将来の仕事に関係すると思いますか」「理科を学ぶことで将来の職業選択の幅が広くなると思いますか」といった質問に、日本以外の国では7~8割が「思う」と答えています。しかし、日本では「思わない」比率の方が高くなっています。理科の好きな小学生はたくさんいますが、中学高校と進むにつれて減ってきてしまうのです。これは、物理などの勉強が受験のためのものになっており、日常生活や自分の将来との関係が感じられなくなっているためと考えられます。
驚きを興味につなげる
OECDの調査結果から、理科教育における、日常生活や社会との関連を重視する活動の必要性が指摘されています。理科の授業のなかで、さまざまな仕事との関係を説明したり、身近で意外なことを紹介して興味を引いたりすることが有効です。
例えば、黒板などに貼り付けるゴムでできた板状の磁石のN極とS極はどこにあるでしょうか。「両端にある」と答える人が多いですが、実際は違います。貼り付ける面に、しま状に交互に並んでいるのです。この例のように、「思っていたのと違う」という驚きが興味につながります。
「わかった!」を体験させる
別の例として、自転車のライト用電源のダイナモに使われている磁石にはN極とS極が16個もあります。なぜでしょうか。
電流は磁場の変化によって発生し、変化が速いほど電流がたくさんできます。自転車の車輪が回転すると磁石も回転して電流を発生します。N極とS極が16個あれば、車輪の1回転ごとに16回の磁場の変化が発生します。これにより、低速で自転車が移動していても、磁場の変化が十分に起こって電流を生じさせ、ライトがつくのです。
このような身近な例を取り上げて、「わかる」喜びを体験できるように伝え方を工夫します。その喜びを味わった生徒は、自分から学ぼうとするようになるのです。
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先生情報 / 大学情報
常葉大学 教育学部 学校教育課程 教授 出口 憲 先生
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