誰もが持っている「心の回復力」を育て、逆境を乗り越えよう!
人生、谷があれば山もある
生活の中で気持ちが落ち込むことは、誰にでも起こる自然なことです。例えば高校生に、生まれてから今までの「気持ちの波」をグラフに書いてもらうとします。それぞれ山あり谷ありのグラフになりますが、ずっと下がりっぱなしの人はいません。つまり落ち込んだ状態から自分なりにどうにかして回復しているのです。人にはもともと持っている心の回復力があり、それを「レジリエンス」と言います。レジリエンス教育とは心理教育の一環で、中高生や大学生を対象にレジリエンスの存在を伝えて、ネガティブに感じる出来事やつらい経験で困った時に、その力を意識的に使えるような実践を行っています。
自分の力に気づく
レジリエンス教育にはいくつもプログラムがあり、対象に合わせてさまざまな組み合わせが考えられています。高校生であれば、自分がストレスを感じる時に、自分で対処できる感覚を身につけることを目標に、自分の力に「気づく」ところから始めます。具体的には、つらかった出来事があった時に、どんな行動をしたか、そばに誰がいたかなど自分の経験の中から心の回復力に意識を向けるのです。感覚的に知っているけれど意識することがなかった「自分の力」に気づくと、やってみようと前向きな気持ちにもつながっていきます。
ストレス社会を生き抜くために
人には、好奇心、忍耐力など24種類の「強み」があることがわかっています。心の回復力を高めるためには、ベースとなる自己肯定感を高めることも必要で、そのために自分の強みに注目するというプログラムもあります。24種類の中から自分が高めたいと思う強みを一つ選び、期限を決めてその強みを意識的に使うのです。そういった実践から、ストレスに感じている出来事があっても、強みを活用して乗り越えられることが出てきます。レジリエンス教育という大きな枠の中では、「自分への思いやり」の視点などほかにも取り上げるべき要素はたくさんあります。
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龍谷大学 心理学部 講師 梅野 智美 先生
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