講義No.11498 社会福祉学

「連携」を問い直して子どもを救え! 社会福祉学の挑戦的視点

「連携」を問い直して子どもを救え! 社会福祉学の挑戦的視点

機関ごとの「違い」

子ども虐待対応には、様々な機関や職種が関わります。行政権限を持つ児童相談所のほか、市区町村の子ども家庭福祉担当、警察、保育所、幼稚園、学校、医療機関等、子どもや家庭に関わるあらゆる機関・職種が連携して個別のケースに対応しています。しかし、多機関・多職種間の連携は簡単ではありません。例えば、市区町村の子ども家庭福祉担当が1人の子どもの利益を守ろうとすることと、学校が公教育機関として全生徒に等しく教育機会を提供しようとする姿勢が葛藤を生むこともあります。それぞれ異なる専門性と組織論理を持っており、その「違い」がときに連携を難しくすることもあります。

多職種連携の「調整」に必要なこと

子ども虐待対応においては、市区町村の子ども家庭福祉担当が多職種連携の「調整」を担うことが多くなります。ある研究で調整担当者にインタビュー調査を行ったところ、各機関の「違い」を否定せず、認めながら調整をしていることが分かりました。そのうえで、協力を求める際には、事務的に仕事を割り当てるのではなく、「自分がまずは担う」ことを実践していました。自らが先に動くことで相手の譲歩や協力を引き出しているのです。

「連携」を問い直す

社会福祉学は、弱い立場の人の役に立つ研究が多いため、「良い人」「世話好きな人」に適していると考えられがちです。間違いではありませんが、少なくとも研究領域においては、あらゆることに挑戦的な視線を向け、「本当にそれでいいのか」と問う力が求められる学問でもあります。
「連携」という手法は子ども虐待対応に限らず、対人援助領域(医療、保健、教育等)において広く取り入れられていますが、まるで免罪符のように使われる「連携」のあり方を問い直し、その実態や課題を明らかにすることは、結果として虐待を受ける子どもや、虐待せざるを得ない状況にある保護者を救うことにつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

岩手県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 准教授 實方 由佳 先生

岩手県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 准教授 實方 由佳 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が専門とする「社会福祉学」は、福祉だけでなく社会学や心理学、またユニバーサルデザインをはじめとする工学分野等、多岐にわたる学問領域をカバーしています。子ども虐待のようなシリアスな問題から、誰もが持ちやすいコップの形状まで、幅広いことが研究の対象になります。
ぜひ多くの人に社会福祉学の自由さや懐の深さを知ってもらいたいと思います。もしあなたが、まだやりたいことが定まっていないとしても、社会福祉を学ぶことで、多彩な知識に触れながら自分の将来やキャリアを考えることが可能です。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

岩手県立大学に関心を持ったあなたは

大学は「知識」を得る場であるだけではなく、「人生の目的」を考える場であり、これからの人生で自分は何をなすべきかを探求する場でもあります。人はそれぞれ固有の素質と能力を持っています。それをいかに見出し、育成していくかが教育の最大課題であると考えています。この大学での貴重な学習期間に、自己の能力と個性を伸ばし、適性を見出すことに努めてください。本学の教職員は、全力を挙げてこれに協力します。