キーワードは「住民協働」~住民組織の在り方が問われる時代~
コミュニティについて学びを深める
非常に広範にわたる社会学の対象領域において、「地域社会学」と呼ばれる分野の中には、市町村、あるいはそれより小さな単位のコミュニティについて研究する領域があります。この領域では、市町村合併の歴史やその効果の調査、地域の再開発をはじめとする街づくり、町内会などの住民組織の機能性などが研究の対象となります。
「機能的な町内会」のポイントとは?
あなたの住む地域にも、町内会があるでしょう。最も身近な住民組織ですが「町内会は自治体の下請け」とも言われ、その本質についてはさまざまな解釈があります。一方で、町内会は現実にさまざまな役割を担っており、その1つに挙げられるのが災害対応です。では、どのような町内会であれば、その機能を果たせるのでしょうか?
災害はいつ来るかわからないので、重要なのは、いざとなったら、「みんなで一緒にやろう」という「住民協働」の機運を日ごろから醸成しておくことです。また近年、行政では十分対応できないことを、地域コミュニティで解決する傾向も強まってきています。東日本大震災の発生直後、行政では把握しきれない避難者の数や避難先における食料の分配や寝る場所の確保などを、コミュニティどうしが自発的に支えあって乗り切ったという実例もありました。
「フォロワー」の重要性
自主防災組織や町内会といったコミュニティに、リーダーとなる人材は欠かせない存在です。しかし、リーダーだけではうまくまわらないこともあります。これからは、有能なフォロワーを育てていくトレーニングや研修の機会が存在感を増してくるでしょう。フォロワーとは「ついていく人、支持する人」という意味ですが、リーダーの意図をくみとり的確に対応できる有能なフォロワーがいる地域では、自然とコミュニケーションの密度が高くなり、より機能性の高いコミュニティが形成されます。優秀なリーダーとその人を支える有能なフォロワーがいる、そんなコミュニティが求められています。
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先生情報 / 大学情報
岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 吉野 英岐 先生
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