日本の観光はどうなる? 鍵は東南アジアと富裕層
明るい兆しはある
「インバウンド」という言葉を聞いたことがあると思います。訪日外国人客のことで、観光立国をめざす政府が「2020年に4000万人」という目標を掲げたこともあって2019年には3188万人になりました。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年は推計411万人に落ち込みましたが、明るい兆しはあります。コロナ後についてのある意識調査では「海外旅行に行きたい」という回答が多いですし、グローバル化を進める世界的な流れは変わりません。ここで注目したいのは、東南アジアと富裕層です。
国によって違う旅行の売り方
2019年の訪日外国人客は、中国、台湾、韓国、香港からが全体の7割を占めていました。東南アジアからの旅行客は全体の1割程度ですが、これからはタイ、ベトナム、インドネシアからの旅行客が伸びていくとみられています。それを踏まえて現地で行った調査からは、旅行において各国のさまざまな違いがわかっています。
例えば、日本の旅行会社は店舗を構えてパンフレットを作成し旅行プランを売るスタイルが多いですが、タイは店頭販売がほぼありません。口コミに近い形で情報を得て、年に数回ある旅行フェアに個人単位で申し込みます。ベトナムでは店舗はありますが、グループツアーの販売が中心です。近年、日本の旅行会社がタイやベトナムの現地に進出し、ツアーを日本式で売る動きも出ています。各地域の特性を把握し、向き合うことが、これらの地域からの旅行客を伸ばす鍵になるのです。
富裕層の好みを考えよう
コロナ後はまず富裕層、その後に一般の観光客が動き出すと考えられています。観光消費額を引き上げる意味でも富裕層は欠かせません。観光先進国と言われる欧米と比べると、日本は中国やヨーロッパ、中東の富裕層に対応できるホテルなどの設備がまだ不足しています。各国の富裕層がどうしたら日本に来てくれるのか、彼らの好みを考えて整備した上で、日本の良さをアピールする戦略が今後の課題です。
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神戸国際大学 経済学部 国際文化ビジネス・観光学科 教授 北 邦弘 先生
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