足で稼いで学ぼう! 日本文化はリアルタイムで動いている
文化は動いている
日本の文化として、近年、2つの「M(「漫画」と「村上春樹」)」が世界でよく取り上げられています。なぜ外国の人たちがこの「M」に興味を持ったのか、どのようなプロセスで注目されたのか、それは「日本文化論」で知ることができます。日本文化論は、ただ文献を読む研究ではありません。文化はまさに今、動いています。現地に出向いて、そこで知覚できる現象に浸るなど、足で稼がないとわからないこともあるのです。
足で稼いだ「貴重な映像」
例えば京都の祇園祭を研究する場合、本を読んだり歴史を学んだりするほかに、運営側として参加することで、見学者の立場では知り得ない部分を学ぶという手法があります。特定の人物に狙いを定めて深く関わっていくことで、技術の伝承や担い手不足の問題も含めて祇園祭の今を知ることができます。初参加の男性や祭りを支える人たちなど、関係者の心の変容や、祭りが続いていくプロセスは、こうしたフィールドワークでないとわからないことです。
村上春樹に関する事例もあります。長編小説『ノルウェイの森』に登場する病院のモデルとされる、西宮回生病院の取り壊しについて書かれた村上春樹の関連記事を読んだ学生は、病院の取り壊しを「残念」という感想で終わりませんでした。現地に出向いて建て替えを決めた病院と交渉し、解体の瞬間の映像を残したのです。これは保存運動ではなく、日々の変化を見つめ、人間の考え方をまとめた作品となりました。
世界を知る窓
日本文化論は、現象を見つめ、行動し、体験していくことで文化の動きを把握する実践型の学問と言えます。研究には、現象に浸る自身の内なる視点と一歩引いた外からの視点が大切で、自分になかった考え方を知ることによって、豊かで重層的な考え方ができるようになります。
日本文化は、決して日本人だけのものではありません。世界に多くの影響を与えており、外国の人たちに創造力や知恵をもたらしています。日本文化は、「世界を知る一つの窓」となり得るのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸国際大学 経済学部 国際文化ビジネス・観光学科 教授 毛 丹青 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
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