お茶を買うならどっち? 広告から見る企業のコミュニケーション
ブランドは高級品だけじゃない
「有名メーカーの値段が高いお茶と、知らないメーカーの激安のお茶、どちらを買いますか?」という問いに対する答えの理由として、「CMで見たから」「値段が安いから」「味が好き」などが挙がるでしょう。これらは商品の「ブランド」に関わるもので、その背景にはマーケティング戦略が影響しています。ブランドというと高級品をイメージするかもしれませんが、認知度、価格競争力、商品力、そのどれもがブランドのパワーであり、それらを高める手段のひとつが「広告」です。
広告によるコミュニケーションの変化
広告は元来、企業が商品を告知する販売促進の手法ですが、近年は伝える内容が拡大しています。商品だけでなく、商品を扱う企業自身の広告も増えています。企業は、良い商品を届けるだけでなく、環境に配慮したり地域社会に貢献したりしないと、株価や人材の獲得にマイナスの影響を受けるようになりました。「SDGs(持続可能な開発目標)」の浸透が、この動きを加速させたと考えられます。
広告メディアも、テレビや新聞のほかに、ニュースサイトや動画配信サイトなど多様化しています。伝え方も、消費者への一方通行ではなくなりました。内容に共感して商品や企業のファンになってもらい、SNSでシェアして拡散してもらうことも、広告を通じた企業と消費者とのコミュニケーション活動のあり方のひとつになっています。
広告の今後とは
変化を続ける広告の今後については、「統合化」と「社会化」という視点がカギでしょう。「統合化」は、広告だけでなく、ホームページやSNSなど企業が発信するすべての情報に一貫性を持たせ、全体の効果を高める考え方です。「社会化」は、消費者だけでなく、さまざまな人に向けて企業の存在意義や社会への貢献についてコミュニケーションし、理解と協力を得るというものです。こうした内容の実現に最適な手法が、その時々の広告として展開されているのです。
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先生情報 / 大学情報
愛知産業大学 経営学部 総合経営学科 教授 山崎 方義 先生
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