その時代の考えは、住宅建築に反映される
あなたの家はどんな家?
家族が住む持ち家を「マイホーム」と呼びます。建築用語では「住宅建築」に分類されます。そんな住宅建築には一戸建てやマンション、アパートなど住む形態もさまざまです。骨組みとなる材料も、木やコンクリート、鉄などさまざまです。このように多種多様な住宅建築があふれる現代ですが、100年ほど前までは、ここまで多様ではありませんでした。今のような住宅建築のスタイルは、いつできあがったのでしょうか。
地震と戦争をきっかけに
いまの住宅が形づくられたのは、関東大震災と太平洋戦争がきっかけになりました。古くからのまちなみが焼け野原になった一方で、東京の山の手などには、快適で居心地の良い西洋スタイルの家が建ちはじめていました。戦時中には、兵力・労働力となる健康な男子の育成を国策にした住宅政策によって、家に対する庶民の価値観が変化しました。戦後になると、地方から都市部へ数多くの若者が流入して家庭を持ったことで、一気に住宅需要が高まりました。そのとき広まったのが、かつての憧れだった西洋スタイルと、戦時の労務者住宅の融合です。1960年代からはハウスメーカーなど住宅産業が家づくりを担っていきました。
家から時代が見えてくる
江戸時代の武士の家はその家の格式の象徴で、住む人が快適かどうかは二の次でした。庶民の家は粗末な木造がほとんどで、不衛生な環境だったのです。そもそも人々の住宅に対する考え方はとても保守的で、住宅建築のスタイルや考え方はなかなか変化しません。それでも時代の流れとともに、時には震災や戦争、最近ではコロナ禍やウクライナ戦争など、たびたび起こる「危機」が変化を促してきました。
現在、住宅価格高騰や空き家問題で、新築より中古住宅を手入れして住む人も増えつつあります。一戸建ても、今までは一世帯4人の家族を想定した2階建てが主でしたが、少子化もあり、今後は平屋建てが主流になるという予測もあります。身のまわりの住宅建築を見ることは、その時代や人々の価値観を知ることにもつながります。
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