子どもの学びを探ると、理科教育の理想像が見えてくる!
理科教育における「深い学び」の実現に向けて
振り子が一往復する周期に影響する要因は、糸の長さ、おもりの重さ、振れ幅のうちどれでしょう? 答えはもちろん、糸の長さだけです。ところが、子供の予想は様々です。重さも振れ幅も関係がある。なぜなら「重いほうが速く動く」「振れ幅(距離)が長いと遅くなる」などのように。子供はすでに、日常生活で得た感覚から自分なりの答えを導き出し、子供なりの考えを構成しているのです。
理解度が高く、興味をそそる理科授業をつくるには、「自然認識の研究」、つまり子供が自然の事物・現象に対して、どのような考えを持っているかを探ることが鍵となります。また、学びを探るということは、文部科学省が提唱する「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」にもつながります。
子どもたちの自然事象に対する概念を変えるには?
子供は、最初に持った考えにこだわりがちです。それが誤っているとして、教科書の内容を注入するだけでは、しばらくして最初の考えに戻ってしまうことがあります。それを変えるポイントは、概念理解を深めることです。
例えば、「イネやマツは花を咲かせない」と認識している子供がいるとします。花を咲かせるという認識に変えるには、まず、イネやマツもサクラやツツジと同じ種子植物であるという「共通性」を持たせます。そのうえで、「花を咲かせるのは種子を作るためである」と、順序立てて概念を形成すると理解しやすいでしょう。こうした子供の目線に立った教育の実践には、やはり認識傾向を把握することが大切なのです。
重要な各教科の連携
近年、理科授業研究において、学びの「意義・有用性」や「自己調整」など、さまざまなテーマが注目されています。さらに今後は、SDGsへの関心の高まりから、現代的な教育課題にも目を向けて欲しいです。例えば、カーボンニュートラルに向けた取り組み、発電方法などといった授業内容には、多くの領域が関連してきます。各教科を基礎にして横断することで、新たな学びの可能性が期待できるのです。
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福岡教育大学 教育学部 理科教育研究ユニット 教授 坂本 憲明 先生
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