講義No.11618 教育

子どもの学びを探ると、理科教育の理想像が見えてくる!

子どもの学びを探ると、理科教育の理想像が見えてくる!

理科教育における「深い学び」の実現に向けて

振り子が一往復する周期に影響する要因は、糸の長さ、おもりの重さ、振れ幅のうちどれでしょう? 答えはもちろん、糸の長さだけです。ところが、子供の予想は様々です。重さも振れ幅も関係がある。なぜなら「重いほうが速く動く」「振れ幅(距離)が長いと遅くなる」などのように。子供はすでに、日常生活で得た感覚から自分なりの答えを導き出し、子供なりの考えを構成しているのです。
理解度が高く、興味をそそる理科授業をつくるには、「自然認識の研究」、つまり子供が自然の事物・現象に対して、どのような考えを持っているかを探ることが鍵となります。また、学びを探るということは、文部科学省が提唱する「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」にもつながります。

子どもたちの自然事象に対する概念を変えるには?

子供は、最初に持った考えにこだわりがちです。それが誤っているとして、教科書の内容を注入するだけでは、しばらくして最初の考えに戻ってしまうことがあります。それを変えるポイントは、概念理解を深めることです。
例えば、「イネやマツは花を咲かせない」と認識している子供がいるとします。花を咲かせるという認識に変えるには、まず、イネやマツもサクラやツツジと同じ種子植物であるという「共通性」を持たせます。そのうえで、「花を咲かせるのは種子を作るためである」と、順序立てて概念を形成すると理解しやすいでしょう。こうした子供の目線に立った教育の実践には、やはり認識傾向を把握することが大切なのです。

重要な各教科の連携

近年、理科授業研究において、学びの「意義・有用性」や「自己調整」など、さまざまなテーマが注目されています。さらに今後は、SDGsへの関心の高まりから、現代的な教育課題にも目を向けて欲しいです。例えば、カーボンニュートラルに向けた取り組み、発電方法などといった授業内容には、多くの領域が関連してきます。各教科を基礎にして横断することで、新たな学びの可能性が期待できるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

福岡教育大学 教育学部 理科教育研究ユニット 教授 坂本 憲明 先生

福岡教育大学 教育学部 理科教育研究ユニット 教授 坂本 憲明 先生

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理科教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたが教職をめざしているのであれば、きっと「この先生みたいになりたい!」といった理想があるでしょう。どうかその気持ちを大切に持ち続けてください。そして大学ではさらに、子供を育てるやりがいと喜びを存分に味わってください。学ぶ立場から教える立場に視点が変わると、「子供たちはこんなふうに考えていたのか」と、意外な発見がたくさんあるはずです。
福岡教育大学には、幼・小・中の附属7校園があるので、学んだ理論を教育現場での実践的な要素と融合させながら、しっかり研究することができるでしょう。

先生への質問

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福岡教育大学は、有為な教育者の養成を目的に掲げ、福岡県を中心とし九州地域のみならず、我が国の教育界を支える優秀な人材を輩出してきました。九州の教員養成拠点大学としての本学での学びは共に学ぶ同級生、先輩や後輩、本学の教職員との触れ合いだけでなく全国に広がる本学の教員養成ネットワークに参加することを意味します。ここが本学の強みです。

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