講義No.12997 教育 児童学

子どもたちに、ものごとの「本質」をつかむ楽しさを伝えたい

子どもたちに、ものごとの「本質」をつかむ楽しさを伝えたい

立春の日に卵が立つ

昭和22年、「立春の日に卵が立つ」という記事が新聞に掲載されました。物理学者の中谷宇吉郎博士は、科学の立場からこの現象を調べました。その結果、卵の殻には非常に小さな凹凸があり、3つまたは4つの凹凸で平面を支えると卵が立つことがわかりました。立春に限った話ではなかったものの、「卵が立つ」という事実は大きな話題となりました。中谷博士は「世界中の人間が長い間すぐ眼の前にある現象を見逃していたということがわかったのは大発見である」と述べています。

ものごとの本質を考える

多くの児童や生徒は「習っていないことは知らない」と思い込んでいます。例えばチューリップに種はできるでしょうか。小学校で習う「菜の花のつくり」は、花のつくりの一例です。菜の花に限らず、花の咲く植物には必ず種があり、チューリップにもじゃがいもにも種ができるのです。人間の思い込みは、ものごとの本質を隠してしまいます。人間は長い間、丸い卵が立つ事実を見逃してきました。しかし小学生でも5分も挑戦すれば、約半数の児童が卵を立てられます。こうした実証実験を取り入れた授業は非常に盛り上がります。

「感動」の心を育てる

小学校高学年になると、理科嫌いの児童が増えます。難易度だけではなく、先生自身の理科への関心度が大きな要因です。理科好きの児童を育てるためには、まず先生の意識を変える必要があります。例えば大津市科学館では、小中学生を対象に「ものづくり体験」を開催しています。自分でつくることや、できあがった作品の原理や仕組みを学ぶことで「感動」の心を育てようという取り組みですが、小学校の先生をめざす大学生もサポート役として参加し、理科のおもしろさや楽しさを体験しています。
課題に主体的に関わることは、人格形成においても重要です。卵が立つ様子をただ見ていてもおもしろくありません。児童に「なぜ立つのか」を考えさせて、やらせてみることが大切です。子ども教育学では、児童の「感動」や「楽しい」を育てられる先生の育成が求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

びわこ学院大学 教育福祉学部 子ども学科 教授 箱家 勝規 先生

びわこ学院大学 教育福祉学部 子ども学科 教授 箱家 勝規 先生

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子ども教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

理科が苦手な人は多いかもしれません。しかし、理科は実におもしろい科目です。「じゃがいもに種はあるのか」「油汚れを落とす効果的な方法とは」「肌に優しい化粧品を作るには」全ての答えは理科の中にあります。理科の知識は、洗剤、化粧品、食品など身近な生活に活用されています。何事も目に見えるものだけに捉われるのではなく、「本質」を見ることで「おもしろさ」に気づくことができます。隠れた本質が何かを考える習慣を持ち、ぜひさまざまなことに挑戦してほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

びわこ学院大学に関心を持ったあなたは

びわこ学院大学は“先生”を育てる大学。間違ってはいないがそれだけじゃない。教員をめざす学びの中で、多くの人と関わり、経験を重ねることで、新たな夢に出会い、叶える学生たちがいる。身につけた知識や経験を自信に変え、誰もが自分らしく夢を叶えることができる場所。それがびわこ学院大学。少人数教育を活かしたサポートは、どんな道を選んだ学生も最後まで支えていける。だから、地図なんていらない。君の進む道は、想像以上に自由だ!