豚の体重が「見える」?! ~畜産へのAIやARの活用~

豚の体重が「見える」?! ~畜産へのAIやARの活用~

豚の出荷前には体重の測定が必須

畜産業では、牛や豚のような大きい家畜を出荷する前には正確な体重測定が必要で、利益に直結する課題です。豚の場合、1頭が115kgと、出荷に適切な体重が決まっており、大規模な生産者では1日に100頭以上も出荷しています。大きい動物を一頭ずつ体重計に乗せるのに2~3人は必要ですが、コストを抑えた飼育方法が確立されているため、豚舎の運営は少人数であり、人手の余裕がありません。熟練した目利きが勘で体重を推定する養豚場も多いのです。また、豚にとっても体重計に乗せられるのはストレスとなり、動物福祉的観点からも負担の少ない計測方法が求められます。

AIやARで体重を瞬時に判別

そこで、AI(人工知能)やAR(拡張現実)の技術を使い、豚の体重を推定するデバイスが開発されています。漫画『ドラゴンボール』の読者なら、「スカウター」という、敵の戦闘能力を表示するデバイスを連想するでしょう。豚の体重を推定する仕組みは、レーザを照射して3Dカメラで撮影した映像と作業者の頭の傾きを検知する傾斜センサの情報をコンピュータに送って処理し、結果をスマートグラスに表示するというものです。前もってAIには数千タイプの豚の写真と体重を覚えさせておきます。デバイスを装着した作業員が動く豚を目で追うだけで、体重に加えて、肉にした場合の重量も瞬時に表示されます。両手が自由なので、判別したらスプレーなどで豚に印を付けることもできます。出荷時はその豚だけを集めればいいのです。

畜産業の課題解決にロボットで貢献

豚の生産は繁殖から肥育まで1つの養豚場で管理されることが多く、研究開発は大規模な生産地から始まりました。このデバイスは作業補助ロボットの一種です。AIやIoT(モノのインターネット)技術による畜産業の課題解決は海外でも必要とされています。担い手不足を補い、畜産業をやりがいのある魅力的な仕事にするには、最新技術を駆使したロボットの存在が、今後ますます必要となっていくでしょう。

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宮崎大学 工学部 工学科 機械知能工学プログラム 教授 川末 紀功仁 先生

宮崎大学 工学部 工学科 機械知能工学プログラム 教授 川末 紀功仁 先生

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ロボット工学、畜産学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生のあなたには、自分に合っている、好きと思える学科を選んでほしいです。なぜなら、選んだ学部・学科によって、あなたの将来が変わってしまうからです。何を勉強したいかよりも、試験の点数で入れる大学を選ぶ受験生も多いです。しかし、その大学でどんなことを学べるのかをリサーチしておかないと、入ってから「思ったのと違う」「受け直したい」ということになる可能性があります。
また、好きなロボット研究を続けてきた私が言えるのは、好きなことを職業にした人は、仕事に関して幸せであり続けられるということです。

先生への質問

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宮崎大学に関心を持ったあなたは

宮崎大学は、「世界を視野に、地域から始めよう」のスローガンのもと、人的・知的・物的資源を共有し、機能を相補します。(1) 教養教育の一層の充実と質的向上、(2) 教育・研究基盤の強化、(3) 学際領域の教育・研究の強化と創出、(4) 地域および国際社会への貢献、を具体的な目標として、21世紀を展望しつつ、知の創造の殿堂として、活気に溢れ、魅力に満ちた学風と輝くキャンパスを築きます。また、地域と連携して宮崎の文化と風格を高めることを目指しています。