バイオメカニクスが人体の未来を開く
骨や筋肉にかかる力を研究
人間の身体が動く時には、骨や筋肉に物理的な力が作用しています。生体内にかかる力を、骨や筋肉の内部組織の構造にまで着目して分析するのが「生体力学(バイオメカニクス)」という学問です。
例えば、歩く時にどの筋肉が動いて、関節にはどれくらいの負荷がかかっているか、骨の内部ではどんなことが起きているかなどを計測したり、コンピュータでシミュレーションしたりします。バイオメカニクスの研究成果は、スポーツ、医療、介護など、「人の動き」に関する幅広い領域で応用されています。
子どもからお年寄りまで楽しめるリハビリ
「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」は、加齢や病気により歩行などの移動が困難になる状態のことです。これを予防するには運動が大切です。バイオメカニクス研究の応用により、ゲーム感覚で楽しみながらリハビリができる「ロコボット」というロボットが開発されています。これは、ボードに乗って上半身を動かし、重心移動すると、ボール形のロボットが動いてボーリングのピンを倒すなどのゲームができる仕組みです。子どもからお年寄りまで、また、車いすの人でも、楽しみながらバランス機能や体幹を鍛えることができます。このロボットはすでに臨床でリハビリに使われ、高い効果があることがわかっています。
身体の動かし方を分析しトレーニングに生かす
また、スポーツでの身体の動かし方の研究も、バイオメカニクスの領域です。例えば野球のバッティングの動きやボートをこぐ動きを、モーションキャプチャやセンサで測定します。そのデータを使ってコンピュータでシミュレーションし、筋肉や関節がどのように動いているかを解析します。より高いパフォーマンスをするにはどこを鍛えたらよいか、ケガや腰痛を防止するにはどのような動き方をすればよいかなど、適切なトレーニング方法の開発につながります。
画期的なトレーニング方法が開発できたら、大谷翔平選手のような大リーガーがたくさん生まれることになるかもしれません。
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