高性能な機械を支える材料を、原子レベルで解析し設計する

高性能な機械を支える材料を、原子レベルで解析し設計する

材料の進化をめざして

100年前と比べると、私たちの生活はとても便利になりました。飛行機や自動車、家電製品やスマートフォンは目覚ましい発展を遂げ、現代人にとって不可欠なものとなっています。現代社会を支えるこれらの製品は、その高度な性能を実現するために、ソフト面だけでなく、使用される材料にも進化が求められてきました。そしてこの材料について、原子レベルでの研究が進められています。

原子レベルでの解析・開発

現在の材料開発では、材料の結晶構造を解析し特性を向上させる研究、そして、新たな特性を材料に加えた複合材料の設計や開発が主流となっています。まず解析では、材料の特性はどのような元素が関係して決まっているのかを解き明かし、個々の要素の物理現象を分解していきます。こうして特性向上のメカニズムが明らかになると、さらに優れた性質を持つ材料の設計や開発を進めることができるようになります。
また、鋳造や焼結といったプロセスを経て、材料に多様な特性を加え、複合材料を作る研究も行われています。複数の特性を混ぜ合わせたことで起こる反応を制御できれば、これまでになかった特性を持つ材料を設計し開発することも可能になります。最近では、温度に対する材料の性質を管理する「サーマルマネジメント」にも注目が集まっています。

ものづくりの現場で活躍するために

機械製作においても材料開発においても、材料の評価から製造までのすべてを理解していることは、実社会でのものづくりにおいて非常に有用です。強度や硬さで示される数値だけで材料を理解するのではなく、一定の環境下では劣化する特性を持つことを知るなど、複合的な性質を持つ生き物のように材料をとらえる視点が必要だからです。そして、機械の性質を材料の特性から考える視点は、今後のさらなる高集積化と高機能化に向け、これまで以上に必要とされるはずです。

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広島大学 工学部 第一類(機械・輸送・材料・エネルギー系) 教授 佐々木 元 先生

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材料工学

メッセージ

今、あなたはテストでよい成績を取ることや大学に合格することを目標に、「正解」を一生懸命暗記しているかもしれません。記憶力に自信があれば、暗記だけで高い点数が取れることもあるでしょう。一方、大学では暗記力ではなく、「なぜそうなるのか」に疑問を持ち、問題解決に向けて考える力が必要になります。
知識を身につけることは大切ですが、数学でも化学でも物理でも、日頃から「物事がなぜそうなっているか」に興味を持ち、問題解決のプロセスを理解する習慣をつけて勉強に取り組むことをおすすめします。

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広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、4研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。