生活保護を受けるのは、人間らしく生きる当たり前の権利
住所を持たない人、ホームレス
人は誰もが、幸せに暮らす権利を持っています。しかし世の中には、住む家を持たずに路上で生活する、いわゆるホームレスの人たちが存在します。彼らは自力ではどうにもならずに家と職を失った人がほとんどです。誰もが幸せに暮らせるようにするには、彼らが通常の生活ができるようにしていくための支援が必要です。人は安心して布団の中で眠り、働いて誰かの役に立つことで、生きがいや自己肯定感、そして尊厳を取り戻すことができるのです。しかし高齢者支援や子ども支援に比べ、ホームレスの人たちに対しては支援者の数が少なく立ち遅れているのが現状です。
ホームレス支援を取り巻く問題
ホームレスとなった理由は多様です。そのため支援も一律ではなく、個別に対応する必要があります。しかし、ホームレスの自立支援はまだ十分に体系化できていません。せっかく仕事が見つかっても用意された住居が遠いなど、きめ細かい支援が行き届かないことや、途中で支援が打ち切られるケースさえあります。また、生活保護を受けるのは人として正当な権利にもかかわらず、日本では「恥ずかしい」と拒む人も多いのです。制度が活用されるためには、ネガティブなイメージをどのように払拭(ふっしょく)していくかが課題です。
ホームレス支援が当たり前の世の中に
ホームレスをはじめとした貧困問題は、人間が社会をつくったときから存在します。ホームレスをなくすのは難しいですが、改善はできます。ホームレス問題の改善が遅れている背景には、彼らに対する社会の「見て見ぬふり」「臭い物に蓋(ふた)をする」という風潮があります。そうではなく、社会がホームレス問題を正面から見て、何が起きているのかを考え理解することが大切です。それに、貧困問題は決して他人事ではなく、気づけば自分事になっていることもあるのです。社会全体の幸福度を上げるためには、彼らを排除するのではなく、ホームレス支援が当たり前の世の中にすることが重要なのです。
参考資料
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武蔵野大学 人間科学部 社会福祉学科 講師 櫻井 真一 先生
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