患者の療養を支える「医療ソーシャルワーカー」にも支援は必要
患者の不安を和らげる
世の中には社会福祉に関するさまざまな仕組みがありますが、皆がそのすべてを知っているわけではありません。人々の福祉へのニーズと支援制度とをマッチングさせる、ソーシャルワーカーという職種があります。この職種は病院でも重要視されています。病気になったり入院したりすると人々の不安が増大し、普段とは違ったニーズが発生するからです。病院などに勤務する医療ソーシャルワーカーは、生活費を援助する制度の紹介や、退院前後の生活支援などを行い、患者が安心して療養できるようにします。
人材不足と新たな課題
日本では2006年以降、医療ソーシャルワーカーが特定の支援を行うと、勤務先の病院にお金が入る仕組みができました。雇用の経済的な基盤が整ったことで、医療ソーシャルワーカーを導入する病院が徐々に増えています。しかし医療ソーシャルワーカーは2023年時点で全国に3万人程度しかおらず、医師や看護師と比べると少数で、知名度も低いです。その一方で、新人が一気に増えたため業務をじっくり教えることが難しくなった、という課題も見られます。部下の教育やマネジメントに悩んで辞めてしまう中堅層も多いのです。
中堅への支援も大事
中堅が悩んでしまう原因のひとつが、経験や知識の不足です。教育やマネジメントについて学ぶ機会がなかったため、なれない業務が発生して戸惑ってしまうと考えられます。そこで中堅層への支援を手厚くしようと研究が始まりました。例えばベテランが実践してきた事例をもとに、育成やマネジメントのガイドブックを作る取り組みです。部下のモチベーションを高める方法や、業務の質を向上させるための取り組み方などが分析されています。
ベテランが現場で実践している内容はまだ体系化されていない部分が多く、次の世代にうまく広めることができていません。部下をどうマネジメントするか、働きやすい環境作りには何が必要かなど、可視化されていない部分を明らかにしようと研究が続けられています。
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先生情報 / 大学情報
日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 保正 友子 先生
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