講義No.12677 社会福祉学

患者の療養を支える「医療ソーシャルワーカー」にも支援は必要

患者の療養を支える「医療ソーシャルワーカー」にも支援は必要

患者の不安を和らげる

世の中には社会福祉に関するさまざまな仕組みがありますが、皆がそのすべてを知っているわけではありません。人々の福祉へのニーズと支援制度とをマッチングさせる、ソーシャルワーカーという職種があります。この職種は病院でも重要視されています。病気になったり入院したりすると人々の不安が増大し、普段とは違ったニーズが発生するからです。病院などに勤務する医療ソーシャルワーカーは、生活費を援助する制度の紹介や、退院前後の生活支援などを行い、患者が安心して療養できるようにします。

人材不足と新たな課題

日本では2006年以降、医療ソーシャルワーカーが特定の支援を行うと、勤務先の病院にお金が入る仕組みができました。雇用の経済的な基盤が整ったことで、医療ソーシャルワーカーを導入する病院が徐々に増えています。しかし医療ソーシャルワーカーは2023年時点で全国に3万人程度しかおらず、医師や看護師と比べると少数で、知名度も低いです。その一方で、新人が一気に増えたため業務をじっくり教えることが難しくなった、という課題も見られます。部下の教育やマネジメントに悩んで辞めてしまう中堅層も多いのです。

中堅への支援も大事

中堅が悩んでしまう原因のひとつが、経験や知識の不足です。教育やマネジメントについて学ぶ機会がなかったため、なれない業務が発生して戸惑ってしまうと考えられます。そこで中堅層への支援を手厚くしようと研究が始まりました。例えばベテランが実践してきた事例をもとに、育成やマネジメントのガイドブックを作る取り組みです。部下のモチベーションを高める方法や、業務の質を向上させるための取り組み方などが分析されています。
ベテランが現場で実践している内容はまだ体系化されていない部分が多く、次の世代にうまく広めることができていません。部下をどうマネジメントするか、働きやすい環境作りには何が必要かなど、可視化されていない部分を明らかにしようと研究が続けられています。

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先生情報 / 大学情報

日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 保正 友子 先生

日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 保正 友子 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

大学に入ったら、やりたいことをすべてやってほしいです。大学進学の目的を事前に決めていても、それ以外のことに取り組む時間があっていいと思います。別のことに興味が出るのは当たり前なので、幅広く学んでほしいです。その際は本だけでなく、あなたの目、耳、足、心などを活用し、身体全体に刻みつけるような学びをしてみましょう。特にソーシャルワーカーは現場での研修も大事なので、頭で考えることと身体を使って見聞きすることを、どちらも大切にして学んでください。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本福祉大学に関心を持ったあなたは

1953年の創立以来、卒業生は約9万人。全国に広がる卒業生ネットワークは、全国各地で就職を強力にバックアップしています。卒業生は福祉・医療、ヘルスケア部門を展開する一般企業や流通・商社、金融・保険、運輸・サービス、情報系の企業など、さまざまな分野にも進出。全国で幅広い分野での活躍が期待されます。また、本学では公務員・教員採用試験合格のために対策講座に力を入れており、多数の卒業生が、地方自治体、官公庁、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などで活躍しています。