講義No.11691 観光学

外国人観光客は何を求め日本を訪れるのか

外国人観光客は何を求め日本を訪れるのか

観光客にはタイプがある

今や日本各地の自治体や観光地が、インバウンドと呼ばれる外国人観光客の獲得に注力しています。しかし、外国人観光客をひとくくりにして考えてしまうと、うまくいきません。観光客にはタイプがあるからです。欧米人の多くは「チャレンジ」をキーワードとし、トレッキングや川下りといったアウトドアスポーツを好み、民泊や珍しい食べ物を味わいたいと考えています。一方、アジア人は都市型観光をメインとし、オシャレなカフェ巡りやショッピングを好みます。不便を嫌いますが、アクセスが容易であれば、郊外の観光スポットにも足を運びます。要は観光資源によりターゲットを変え、プロモーションを工夫する必要があるのです。

日本の茶文化を体験してもらうには?

旅行先の文化に触れるのも観光の主目的です。例えば、日本を象徴する飲み物に緑茶があります。欧米人は苦いと感じる緑茶そのものは苦手ですが、少し手を加えた「だし茶漬け」のような料理にすると味わいやすく、自国にない食文化でもあるため喜びます。アジア人もあまり緑茶を好みませんが、健康志向の強いアメリカ人の間で緑茶がブームになっているように、若年層のタイ人も緑茶を飲むようになりました。タイ料理が辛いことから、飲み物は甘いものが多く、やはり健康に良くないと感じているようです。コンビニで緑茶が販売され手軽に飲めることも、観光誘致には大きなメリットです。

ほしいのは「日本らしい」お土産

アジア人はお土産も好きで、特にお菓子、それも個包装だと喜びます。化粧品や美容グッズも人気ですが、単に効能をうたうものより、茶葉のエッセンス入り化粧品や茶葉染めのハンドタオルなど、日本の文化を感じる商品の方がお土産向きです。難しいのが商品の見せ方で、日本語の表示しかないとどんなものか伝わりません。しかし、外国語の説明が並んでいると日本の商品らしくないと敬遠する人もいるため、外付けのポップや店員の説明などで、アピールする必要があります。

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先生情報 / 大学情報

静岡県立大学 経営情報学部 経営情報イノベーション研究科 准教授 カウクルアムアン アムナー 先生

静岡県立大学 経営情報学部 経営情報イノベーション研究科 准教授 カウクルアムアン アムナー 先生

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観光学

先生が目指すSDGs

メッセージ

観光学は単に地理や歴史、文化を学ぶわけではありません。日本を訪れたいと考えている外国人は多いですが、実際に彼らを招き入れるには戦略とマーケティングが欠かせません。今やSNSを使ったプロモーションもおこなうので、ITの使い方も知っておいた方がいいですし、もちろん語学力も求められます。さらに自治体からのバックアップもあった方が、よりスムーズに物事を進められるでしょう。
それらのことを総合的に学べる観光学は、社会に出てから必要な知識が詰まった分野だと言えます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

静岡県立大学に関心を持ったあなたは

静岡県立大学は、5学部9学科を有し、国際化・情報化・高齢化・環境問題という21世紀における最重要課題を展望しつつ、新しい時代を支える有為な人材の育成を目的としています。自主性や公共性を強く意識し、地域社会からの評価を得られるように、大交流時代において選ばれる大学を目指します。研究分野では、文科省のグローバルCOEプログラムに採択され、研究レベルが国内トップクラスといえます。